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第66話 やっぱり密告か

 偶然で片付けるにはタイミングが良すぎるので、どう考えても密告で捕まったのだろう。

 だとしたら、リリアンさんが呼び出されたのもそれに関係してだろうな。

 怖いな。リリアンさん達は良いとして、僕が迂闊な事を言えばどんな目にあうか。

 まぁ、ラサツキ家の現当主の孫という事だから死刑という事はないだろう。

 これは図書館に行くと変な疑いを掛けられるかも知れないな。

 惜しいけど命が惜しいからな仕方がない。

 そう思い部屋に帰ろうとしたら、リリアンさんにばったりと出くわした。

「あら、丁度いい所で会ったわ。少し時間がある?」

「大丈夫です」

「じゃあ、付いて来て」

 僕は頷きリリアンさんの後に付いて行った。


 リリアンさんの後に付いて行くと、部屋にはジェシカが居た。

「母様。お話があると聞きましたけど、どうしてリウイさんも連れて来たの?」

「関係者だからよ。もう少ししたら二コラも来るわ。話はその時にするから、少し待ちなさい」

 リリアンさんにそう言われて、僕達は二コラさんが来るのを待った。

「あの、このお菓子とか美味しいですよ」

「そうなんだ」

 ジェシカは僕の隣に座りあれこれと勧めて来る。

 それを見てリリアンさんは生暖かい目で僕達を見ている。

「何か?」

「別に」

 その含み笑いした顔で言われても説得力が無い。

 でも、何か言えば墓穴を掘りそうなので此処は何も言わない方が良いと思い口を閉ざした。

 そうしていると、ドアがノックされた。

「誰かしら?」

『わたし。二コラよ』

「入りなさい」

 リリアンさんがそう言うと部屋付きのメイドがドアを開ける。

 二コラが部屋に入り、僕を見る。

「あら、リウイ君も居るのね」

「ちょっと大事な話があったから呼んだのよ」

「大事な話?」

 二コラは部屋付きのメイド達を見る。

「大丈夫。この子達は素性も口が堅いのはわたしが保証するわ」

 リリアンさんがそう言うので二コラさんは安堵したのか席に座る。

 二コラさんが座るのを見て、リリアンさんは顔を引き締めた。

「先程ね。兄上に呼ばれたの」

「伯父上が。何の用で呼んだのですか?」

「二コラの相手の件でね」

「わたしの? 今日の相手は用意できないと言われたのだけど、それが関係あるの?」

「その相手が不正を行ったから裁判に掛けられるそうよ」

 リリアンさんの言葉を聞いて、二コラ達はギョッとした。

「不正って、わたしの決闘で何かしようとしたの⁉」

「そうらしいわ。昨日、そんな話をしていたそうよ」

「昨日って、それで今日捕まったの?」

 あまりに速いのでおかしいという顔をする二人。

 でも、僕は逆に何で捕まったのか分かった。

「誰かが密告したんですね」

 僕が断言すると、リリアンさんは頷いた。

「今、この国では密告が奨励されているの。貴方達も発言と行動には十分に気を付けなさい」

 リリアンさんの言葉に僕達は重々しく頷いた。

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