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第64話 此処は誤魔化す

「・・・・・・この手紙の主と貴様はどういう関係だ?」

「え、えっと」

 前世からの友人ですと言っても信じてはくれないだろう。

 更に此処で僕がイノータと名乗っても信じてくれる気がしない。

 それなりに付き合いは長いのでリュウショがどんな性格なのか分かっている。

 寡黙で現実主義者。竜人族は長命という事からか見識に富んでいた。

 普段はリッシュモンドが献策するのだが、リッシュモンドが居ない時やここぞという時に、見事な献策をしてくれる。言うなれば、僕のもう一人の参謀だ。

 知恵もあり武勇に優れた傑物。生半可な嘘を言っても信じてくないだろう。

 なので、此処は僕の前世の事を隠しつつ本当の事を話そう。

「この手紙の主のユエは僕の商売仲間で、実はその人は異世界から来た渡来人なんです」

「ユエ? ああ、居たな」

 そう言えば、リリムが問題起こしてからは『十傑衆』の誰か一人付いてきたな。

 その時に知り合ったんだろう。

「・・・・・・そうだ。あの方も渡来人であったな」

 リュウショは懐かしい物を見る目で手紙を見ていた。

 僕の事を思い出しているのだろう。

「あの者が商売仲間を損得抜きで助ける筈はない。お主は何者だ?」

 う~む。流石にユエの事をよく見ているな。

 多分、僕が赤の他人だったらこんな事もしない。それに助けるとしたら、こんな損だらけの救出劇なんてしないだろう。

 ユエ達がする事って国を相手にするようなものだからな。

 まぁ、姉さん達なら喜んでしそうな気がする。特に約一名。

「僕は魔国の魔王の息子で『八獄の郷』ラサツキ家の現当主の孫のリウイです」

「・・・・・・身分を示す証拠は?」

「ああ、うん。証拠と言える物はこのないんだけど。信じてくれないかな」

 正直に言って身分を示す物は無い。だが、それが別の意味で証明になるだろう。

「ふむ。その高貴な服にこの王宮で好き勝手に行動できる事からラサツキ家の現当主の孫というのもあながち嘘ではないかも知れぬな」

 流石はリュウショだ。目の付け所が違う。

「ところで、リュウショさんはどうして此処に?」

「・・・・・・仕事だ。儂が所属している傭兵団がこの国に雇われているからな」

「傭兵団?」

 そう言えばボルフォレから『雷電』と『槍聖』の二人は傭兵をしていると聞いたな。

 どんな傭兵団に雇われているのかな。

「何と言う名前の傭兵団なんですか?」

「レインボー・ドラグーン傭兵団だ」

 竜人族の傭兵団なのか。亜竜に騎乗する傭兵団なのだろうか。

 名前だけでは全く分からないな。

 今度、遠くからどんな傭兵団か見てみるか。

「お主はどうして此処に居るんだ?」

「ああ、実は」

 僕がこの王宮に来た経緯を話した。

 それを聞いたリュウショは可哀そうな顔をした。

「強く生きろ」

 僕の肩にポンっと手を置いて慰めてくれた。

 うん。普通にそう思うよね。

「魔王の子供という事だからお前を救助するために誰か来るのか?」

「姉達が来ます」

 魔王候補に名を連ねた女傑達が。

「・・・・・・魔王の子か。強いのだろうな」

 昔、魔王と戦った事があるのか凄い遠い目をするリュウショ。

 其処の所をどうなのか聞きたいな。

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