第54話 これは誰が予想が出来るだろうか
ここは何処なのか分からず混乱していると。
「うんん……あれ? どうしてにこらねえさんが、わたしのべっどに……?」
若干寝ぼけているジェシーが傍に居る姉を見て呟く。
そして、身体を起こして周りを見ると、僕に視線がいった。
最初はボーっとしていたが、徐々に目に光が宿った。そして、完全に目が覚めると僕を見るなり顔を赤らめた。
「あ、あう、あうぅぅぅ…………」
ジェシーは傍にあったシーツで自分の身体で覆い隠した。
それによりシーツの上に居た二コラがベッドから落ちてしまった。
コロコロと回って床に落ちた。その痛みで目を覚ます二コラ。
「った~、なにが起こったのよっ」
痛みで片目を瞑りながら立ちあがる二コラ。
そして、僕の顔を見る。
「おはようございます」
「おはよう。って、此処は何処?」
二コラは挨拶をしながら周りを見る。
泊まっていた宿の内装をではないと直ぐに分かったようだ。
「さぁ、僕も分かりません」
何せ起きたら此処で寝ていたんだからな。
「誰かに誘拐されたと思った方が良いわね」
「僕もそう思います」
「わたしも」
宿から此処に居る以上、そう考えるのが普通だ。
問題は誰が僕達を攫ったという事だ。
これでも僕の御祖父さんはラサツキ家の現当主だ。その僕を攫おうものなら御祖父さんがとんでもない報復をするだろうな。
怒髪、天に突かんばかりに怒っている御祖父さんの姿が目に浮かぶ。
僕達が話ていると、ドアがノックされた。
僕達は身構えてジェシーを僕の後ろに隠すようにした。
そして、ドアが開くと入って来たのは男性だった。
この人は確か『当鏡』に来た日にハノヴァンザ王国の使者の人達が居る屋敷から出て来た人だ。
角が生えてないので人だったので覚えていた。
その人は僕というよりもジェシー達を見るなり一礼した。
「無礼を働いた事をどうかお許しください。姫様方」
「「「えっ⁉」」」
姫様方?どういう意味だ?
僕は二人に顔を向けると、ジェシーは意味が分からないという顔をしていたが二コラは目を見開いて息を飲んだ顔をしていた。
う~ん。ますます分からなくなってきた。
そう思っていると、ドアから別の人が入って来た。それはリリーさんだった。
「「お母様⁉」」
どうして此処に居るのと思う僕達。
「二コラ、ジェシー」
リリーさんは僕達に近付く。
「では、わたしはこれで。後ほど朝食を人数分届けます」
その人はそう言って部屋から出て行った。
足音が完全に遠ざかるのを聞いて僕達はリリーさんを見る。
「リリーさん。これはいったい」
「リウイ君。ごめんなさいね。わたし達の事情に巻き込んで」
「それは良いんです。それよりも、今はどうして僕達は攫われたのですか?」
「…………」
僕の問いかけにリリーさんは言葉を詰まらせる。
どう言えば良いのか迷っている雰囲気だった。
「お母様。これはもしかして伯父様にバレたんですか?」
「その通りよ。二コラ」
おじさま?という事はリリーさんの親戚か。
しかし、そんな人がどうしてこんな事を?
意味が分からないな。
「……リウイ君を巻き込んだ以上隠すという事は無理ね」
「お母様? それはもしかしてお母様の血筋に関係しているのですか?」
ジェシーはリリーさんにそう訊ねた。
「血筋?」
「はい。わたしは詳しく知らないのですが、お母様は何処かの国の高貴な家の出と聞いています。それ以上はわたしが成人したら教えてくれるというので知らないのです」
高貴な家の出ね。ハノヴァンザ王国でこんな事をするという事はかなり高位の人なのだろう。そのおじさまという人は。
「……本当はジェシーが成人ししたら話すつもりだったのだけど話すわ。わたしの家の事を」
リリーさんは居住まいを正して真面目な顔をした。
「わたしはね。ハノヴァンザ王国の現国王の妹なのよ」
「「え、えええええええええっっっ‼⁉」」
僕達は驚きの声を上げた。




