表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
537/756

閑話 とある者の謀

 今回はセクシャーナト視点です

「はっ。『当鏡』におられるミズホ様より火急の命で参りました。昨日、リウイ様とその共をしていた二コラ、ジェシーが何者かに連れ去られたのでお伝えに参りましたっ」

 その報告を聞いてわたしは誰にも見えない様にして笑みを浮かべた。

 上手くいったわ。後はこの事をカリショウに報告すればいいわね。

「これは大変な事になったわね」

「え、ええ、……どうしてこんな事に」

 慌てるシャルちゃん。

 此処は落ち着かせた方が良いわね。

 わたしはシャルちゃんの傍まで行き抱き寄せる。

「はいはい。落ち着いてね」

 気を落ち着かせる為頭をポンポンと叩いて撫でた。

 すると、少しづつだがシャルちゃんは落ち着きだした。

「落ち着いた?」

「……はい」

「まずは情報収集をさせましょう。そして今後の事を考えれば良いわ」

「はい。そうですね」

「副都には両親がいるわよね?」

「はい」

「じゃあ、手紙を送った方が良いでしょうね」

「そうですね。直ぐに送ります」

 そう言ってシャルちゃんは部屋から出て行った。

「さてと」

 わたしが手を叩くと何処からか黒装束の者が現れて跪いた。

 この者はわたしの直属の隠密頭だ。

「報告を聞かせて頂戴」

「はっ。ハノヴァンザ王国の者達が二コラ様とジェシー様を誘拐するのを確認いたしました。また、御二方と一緒に居たリウイ様も連れ出したようです」

「向こうはリウイちゃんの事は知っているのかしら?」

「部下からの報告ですと知らないと思われます。二コラ様達と一緒に行動をしていたので捕まえたと思われます」

「そう。そうなの」

 予想通りの展開ね。これなら上手くいくわね。

「引き続き監視と三人の護衛をしなさいね」

「はっ」

 隠密頭が姿を消すと、わたしは部屋を出た。


 部屋を出たわたしはカリショウの部屋へと向かった。

 もう情報はいっていると思うので相当怒っているのが目に浮かぶわ。

「ぬううっ。何処の誰が我が孫を攫ったというのだっ。必ず見つけ出してその報いを受けさせてやろうぞっ」

 予想通りね。この人地頭は良いのだけど怒りっぽいのが欠点なのよね。

 部屋に通してもらい顔を合わせると額に青筋を立てているカリショウが居た。

「はいはい。落ち着きなさい」

「これが落ち着いていられるかっ」

 激昂するカリショウ。

 わたしは答える前に周りを見て、誰も居ない事を確認した。

 それを確認したわたしはカリショウに近付く。

「大丈夫よ。わたしの隠密で密かに護衛させているから」

「なにっ。それはどういう意味だっ」

「それはね。こんな展開になる事を予想していたからよ」

「な、なんだと?」

「わたしの家にハノヴァンザ王国の使者が来たでしょう。その者達にね。とある情報を流したのよ。『ハノヴァンザ王国現国王スティードン一世の御妹君とその娘達がここら辺に居る』という情報を流したのよ」

「うん? ハノヴァンザ王国現国王スティードン一世の御妹だと?」

「名前はリリアン。今は偽名を名乗っているわ。リリーという名よ」

「ふむ。そう言えば、リウイと一緒に攫われた者達の母親がそんな名前であった。……貴様っ⁉」

「あら、気付いたの?」

 やっぱりこの人。地頭が良いわね。

「リウイに『当鏡』に行かせたのは、その為かっ」

「う~ん。そうとも言えるわね」

 話して思ったけど、あの子好奇心が強いのよね。だから、飛空艇って聞き慣れない物が見れると知れば行くと思ったわ。

「まぁ、まさか。ここまでいくとは思わなかったけどね」

「貴様っ。何故、我が孫を他国の者に攫わせる様な事をさせたのだっ」

「そうね。面白そうだから」

「おまえという奴はっ」

「と言うのは冗談で、貴方の孫を世間にお披露目をさせただけよ」

「何だと?」

「ふふ、向こうも直ぐに身分を調べるでしょう。リウイちゃんの立場は直ぐに分かるわ」

「世間にリウイの事が知る事になるな」

「そうしたら堂々と孫に会う事も上手くいけばハバキちゃんにも会えるわよ」

「むっ」

 カリショウは眉を動かせた。本来国外追放されたハバキちゃんの子供は会うのはそう簡単ではない。

 面子と言うのもあるし、何より追い出した者に頻繁に会えば自分の口から出た言葉を翻すという事になる。そんな事をしたら信用が無くなる。今回もわたしが連れて来たから会えたというだけだ。

 それが分かってるカリショウは悩んでいる。此処は攻め時ね。

「勿論、ちゃんとわたしの部下が密かに護衛させているわ。だから安全よ」

「…………」

 カリショウは言葉を詰まらせた。

「ああ、そうそう。攫われたお詫びに今度、わたしの孫娘達とお見合いさせましょうね。で、気に入った子が入れば婚約させましょう」

「それが狙いか?」

 キランと目を輝かせるカリショウ。

「さぁ、どうでしょうねっ」

 笑うだけでもわたしは何も言わなかった。まぁ、狙ってやった事だけどね。

「このクソババァ」

「そう言うのなら貴方は爺ね」

 意地っ張りなね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ