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閑話 驚愕

 今回はシャル視点です

「・・・・・・」

「~~~♪」

 わたしは茶を飲みながら目の前に居る女性を見る。

 その人は何故か楽しそうな顔をしながらわたしを見ている。

「あら、お茶が美味しくなかったのかしら?」

「いえ違います」

 目の前にいる女性セクシャーナト様が問いかけて来た。

 少し前に一緒にお茶を飲みましょうと誘われたので、茶を飲んでいる。

 こうして顔を合わせても、油断ならない雰囲気を纏っているのが分かる。

 昔、まだ母様達と故郷に居た頃、こういう雰囲気をしていた人がいた。

 あの頃は生活は苦しくはなかったが楽しいと思った事は無い。

 むしろ、どうにかしないといけないと思ったが、その頃のわたしはまだ五歳。何も出来なかった。

 業を煮やした母は父とわたしと生まれて間もない妹達を連れて故郷を飛び出した。

 生活は苦しかったけど何をしても新鮮で楽しいと思えた。ここ最近は特にそう思う。

「あの、わたしをお茶に誘ったのはどうしてですか?」

「うん? どうしてか知りたい?」

「ええ、差し支えなければ」

「う~ん。そうね」

 セクシャーナト様はカップをソーサーに置いてわたしを見る

「今の生活はどう思っているのか聞きたいと思ってお茶に誘ったのよ」

「生活ですか? 少し前までは苦しかったのですが、今はリウイさんのお蔭で大助かりです」

 これは本当にそう思う。

 何せ、父の発明を高く評価してスポンサーになって貰った。

 お蔭で窮屈な生活をしなくても良くなった。

 借金をした相手に末の妹のジェシーを助けてもらった事も感謝している。

 そのお蔭でジェシーはリウイさんに惚れたようだ。

 父も母もお墨付きしている。わたしも問題ないと思っているが、二コラだけまだ信頼できないと駄々を捏ねているがそれも時間の問題だ。

 後は我が家の秘密を話してどんな反応をするかだ。

「ふ~ん。そう」

 セクシャーナト様は笑みを浮かべる。

 わたしはその笑みが、まるで罠に掛かった獲物を前にして笑っている狩人の様に見えた。

ハノ(・・)ヴァン(・・・)()王国(・・)()王宮(・・)()暮らし(・・・)ていた(・・・)()よりも(・・・)楽しい(・・・・)()かしら(・・・)?」

 そう訊かれてわたしは思わず手に持っていたカップを床に落とした。

 甲高い音を立ててカップが割れて入っていた中身を床に撒き散らす。

「なにを、いって」

「ハノヴァンザ王国現国王スティードン一世の御妹君であられるブリィンザ公爵であられるリリアン王女殿下の娘の一人シャロン殿下でしょう。貴女」

 確信を持った目で言うセクシャーナト様。

 その顔を見て理解した。隠しても無駄だと。

「・・・・・・どうして、わたし達の正体が分かったのですか?」

「わたしはこの大陸中にあらゆる情報を手に入れる情報網を構築しているの。だから、色々な情報が入ってくるのよ」

「成程。では、隠しても無駄ですね」

「そうね。それを込みで聞きたいのだけど良いかしら?」

「何を聞きたいのですか?」

「リウイちゃんの事をどう思っているの?」

 訊ねている意味が分からずわたしは首を傾げた。

「どうとは?」

「自分のお婿さんにしたいのかしたくないのか聞いているの」

「ぶっ⁉」

 思わず噴き出した。

 妹の思い人に懸想するなんて、有り得ない。

 と思いつつも内心でこういう人と恋をしたいなと思う自分が居た。

「そう。そう思っているのね」

 セクシャーナト様は楽しそうに笑みを浮かべた。

 何で笑みを浮かべているか分からないけど、とりあえずわたしは気を落ち着かせる為深く息を吸った。

 そうしていると、ドアが激しくノックされた。

「誰かしら?」

『お話し中失礼します。セクシャーナト様。国より伝令が参りました』

「伝令? 通しなさい」

『はっ』

 部屋の外に居る女官がドアを開けて伝令を部屋に通した。

 伝令が一礼して跪いた。

「何かあったのかしら?」

「はっ。『当鏡』におられるミズホ様より火急の命で参りました。昨日、リウイ様とその共をしていた二コラ、ジェシーが何者かに連れ去られたのでお伝えに参りましたっ」

「えっ⁈ 妹達とリウイさんが‼」

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