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第51話 説得を終えて、いざ行こう

 アイライ御祖母さんを宥めるのに数日が掛かった。

 だが、そのお蔭でカミノサラ家へ行く許可を獲得した。条件付きだけど。

「ふふ~ん」

「き~っ」

 外出するその日。

 僕はミズホ叔母さんと手を繋いでいた。それを見てアイライ御祖母さんは悔しそうな声をあげる。

 これでハンカチを口で噛んでいたら、何処かの嫉妬に狂った人みたいだ。

 何で、僕がミズホ叔母さんと手を繋いでいるのかと言うとこれには訳があった。

 当初はアイライ御祖母さんに許可を貰おうとしたのだが、何処からか聞きつけたミズホ叔母さんが援護してくれた。

 その代わりと言わんばかりに、自分も付いて行くと言うのだ。

 外出の許可をくれるのに手を貸してくれたので断るのの気が引けた。

 仕方がなく叔母さんと一緒にカミノサラ家に向かう事となった。

「よ、よろしくお願いします」

「よろしくね」

 ミズホ叔母さんを見て頭を下げるのはジェシーと二コラだ。

 他にはパシパエとルフの二人が付いて来る。

「よろしくお願いね」

「……」

 ニコリと優しそうに微笑むパシパエさん。

 無言で僕を見るルフさん。

 僕と一緒にこの大陸に来たけど、実はこの二人とはあまり話した事がない。

 この機会に少しは親しくなった方が良いだろうとソフィーが気を回してくれた。

 なので、親しくしたいのだが。

「ふふふ、リウイちゃんは叔母さんとお手て繋ぎましょうね~」

 ミズホ叔母さんが手を離す気配が無い。

 しかし、どうしてこんなに僕を溺愛するのやら。

 御祖母さんや御祖父さんはまだ分かる。

 母さんの息子という事と女の子の孫だけだった中に僕が出来たのだから可愛いと思うのは別に不思議ではない。

 初めて会った甥っ子という事で可愛がっているだけか?

 考えても仕方が無いので、直接聞くか。ミズホ叔母さんみたいなタイプは直接聞いた方が教えてくれる可能性が高いというのが僕の経験談だ。

「ミズホ叔母さん」

「うん? なぁに、リウイちゃん」

「どうしてそんなに僕に構ってくれるの?」

「そんなの決まっているでしょう。甥っ子だからよ」

 ミズホ叔母さんは僕の頭を撫でながら微笑む。

「本当はね。わたしは男の子が欲しかったのよ。でも、生まれたのは娘達。レイアも生んだのは女の子だったし、何よりこんなに可愛い子を可愛がらないなんておかしいでしょう」

 そうかな。普通、家督を継承するのに邪魔だとか思わないのかな?

「まぁ、その内、御父様がわたしかレイアの娘の誰かをリウイ君の許嫁にするだろうから、今からでもわたしの事をお義母さんと言っても良いわよ」

「……………えっ⁈ その話は初耳なんですけど?」

「そう? でも不思議ではないでしょう。別に『鬼人九大氏族』の家には女性の当主は要るから、娘達が継いでも問題ないけど、ハバキ姉さんに息子が居るんだったら不思議ではないわ」

「まぁ、母さんは長女だから不思議ではないけど」

 というかそんな話、初めて聞いたよ。

「ああ、この話は秘密よ。お父様もリウイちゃんに後を継がせるかどうか、まだ考えているようだから」

「じゃあ、まだ考え中という事なの?」

「そういう事」

 考え中か。その間に何か断る口実でも考えておくとしよう。

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