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第46話 肩身が狭いだろうな。御祖父さん

 翌日。


 朝目覚めて朝食を食べ終えて、暇を潰していた。一緒に来た者達は皆思い思いに過ごしていた。

 僕も用意された部屋で暇を潰していると、ドアがノックされた。

『リウイちゃん~、いる~。ちょっと話があるんだけど?』

 この声と呼び方はミズホ叔母さんか。

 誰なのか直ぐに分かったので、僕はドアを開けると案の定ミズホ叔母さんが居た。

「どうかしたのですか?」

「もう、そんな硬い口調じゃなくてもっとフレンドリーにいきましょうよ。貴方はわたしの唯一の甥っ子なんだから」

「はぁ、そうですか」

 昨日の話では全員女性みたいだったからな。唯一というのもあながち間違いではないか。

「ところで、何の用で?」

「ああ、そうだった。母さんと娘達が予定よりも早く帰って来るようだから、一緒にお出迎えに行きましょうと誘いに来たのよ」

 叔母さんの母さんという事は僕の御祖母さんで、娘達は僕のいとこの事だろう。

 従姉なのか従妹かは分からないが女生という事は分かっている。

 とりあえず言えるのは、みんなミズホ叔母さんみたいな人じゃないと良いな。

「うん? どうかしたの?」

「いえ、別に」

 そんな事を思って居た所為か、思わずミズホ叔母さんを見てしまった。

 何でもない風を装いながら僕はミズホ叔母さんと一緒に御祖母さん達の出迎えに行く。

 

 ミズホ叔母さんと一緒に城館の玄関に出た。

 既にレイア叔母さんとカリショウ御祖父さんは外に出ていた。

「来たか。リウイよ」

「はい」

 あれ、何気に初めて名前を呼ばれた気がするぞ?

 昨日は顔を会わせても話しかけられなかったからな。

 話すタイミングがなかったからかな?

 そう思いながら、僕はお祖父さん達と一緒に並ぶ。右隣はミスホ叔母さん。左隣はレイア叔母さんだ。

「あの子か? ハバキ様のお子と言うのは?」

「そうだ」

「見れば見る程、小さい頃のハバキ様にそっくりではないか」

「正しく、魔人族の王の子供だとか」

「あのハバキ様だからな並の者であれば手を握る事も出来ないだろうな」

「恐らく、傑物でしょうな」

 ひそひそと小声で話している家来の人達。

 あの父さんが傑物ね。姉さんと兄さんに頭が上がらない父がね。

 性格は悪くない。好感が持てる性格だ。ただ、どうも威厳が無いんだよな。良い人なんだけど。

 故郷に居る父の事を思っていると、馬車が屋敷に入って来た。

 その馬車を見るなり家来の人達は一礼しだした。

 ゆっくりと進む馬車。玄関の所で停まる。

 御者が扉を開ける前に扉が開いた。

 そして、馬車に入っていた女性が地面に降りた。

「ただいま。貴方。それとミズホとレイア」

「よく帰ったな。アイライ」

「「お帰りなさい。お母様」」

 その女性に挨拶する御祖父さん達。

 この人が僕の御祖母さんのアイライ・ラサツキか。

 僕はジッとその人を見る。

 緑色の髪を一つ結びにして黄色い肌でその肌色と同じ小さい角を額に生やしていた。

 ツリ目で金色の瞳。女性にしては平均的な身長。三十代くらいにしか見えない綺麗な顔立ち。

 着物風の衣装を上からでも分かる見事なプロポーションをしていた。

「今回の旅行は最高だったわ。海に行って遊び放題。海の幸の食べ放題だったわよ。貴方も来ればよかったのに」

「儂はそういう賑やかな所は好かん」

「そうね。じゃあ、今度は一緒に温泉でもつかりに行きましょう。ああいう静かな所で二人きりというのも悪くないわね」

「ああ、そうだな」

「でも、それじゃあ余計に老けて見えるわよ。だったら、少しは賑やかな所に行って元気よく遊んだ方が良いと思うわよ」

「そうか。しかし」

「今度、暇な時にでも一緒に旅行に行きましょうね。まぁ、その時は家族皆誘って行った方が良いでしょうけどね。あっははは」

 アイライ御祖母さんは正に言葉のマシンガンの様に話し掛ける。

 これがマシンガントークというものか。

 カリショウ御祖父さんが話す暇を与えない程に話しかけるアイライ御祖母さん。

「御祖母様。お話はそれぐらいにして下さい」

 其処に一緒に馬車に乗っていたと思われる女性達が声を掛ける。

 声が聞こえたので、僕はそちらに目を向ける。

 皆、着物風の衣装を着ていたが、それぞれ白、赤、薄紫、水色とそれぞれの色の基調としていた。

 一人だけ高身長なのと僕と同じ位の子がいた。他の二人は同じ位の身長だった。

 その高身長の人は緑色の髪をポニーテールにして額から金色の角を二本生やしていた。

 切れ長の目に黒色の瞳。品がある顔立ちだった。スレンダーな体型でモデルみたいな感じだな。

 もう一人の女性は赤色の着物風の衣装を着ていた。

 上品そうな顔立ちに姫カットにした紫色の髪。こちらは側頭部に角が生えていた。

 大きな目に赤い瞳をしていた。見た感じ鬼人族のお嬢様みたいな雰囲気をであった。

 その隣にいる女性は何と言うか、ミズホさんそっくりだった。

 違うのは目が吊り上がった目ではなく大きな目であるぐらいだ。

 恐らくこの人がミズホさんの娘のアンジュかアユラだろう。

 最後の一人は四人の中で一番背が低い子だった。水色の髪をツインテールにしていた。

 この子だけ角が生えていなかった。パッチリと開いた大きな目にピンク色の瞳。可愛い顔立ち。

「御祖父様。ただいま帰りました」

 一番高身長の人がそう言って頭を下げると他の三人も揃って頭を下げた。

「うむ。良く帰った」

「ところで、御祖父様。そちらの子は?」

「この子か? この子は」

「まぁまぁ、この子。小さい頃のハバキにそっくりじゃない。可愛いわね~、僕、御名前は?」

「り、リウイです」

「そう。リウイちゃんと言うのね~。それにしてもハバキに瓜二つと言うくらいにそっくりね。もしかしてあの子の子供かしら、なんてっ」

「そうです。母はハバキと言います」

 僕がそう言うと周りが静かになった。

「初めまして。御祖母様」

 僕が頭を下げて挨拶する。

「やだ。この子。本当にあの子の子供?」

「はい。そうです」

「やだ、もうっ。いつのまにこんなかわいい子を作ったのよ。あの子は手紙でそれぐらいおしえてもいいでしょうに、気が利かない子ねっ」

 そう言って僕を抱き締めるアイライ祖母さん。

 いとこ達は抱き締められる僕をジッと見る。

「この子が。ハバキ叔母さんの息子?」

「叔母さんはわたし達が生まれる前に国を出たから肖像画でしか知らないけど似ているわね」

「こんなに似ていて偽物という事はないでしょう」

「う~ん。わたしよりも年下なのかな?」

 いとこ達は僕を見るなり好きに話していた。

 御祖母さんに抱き締められながら思った。

 こんなに女性が多かったら御祖父さんも肩身が狭いだろうな。

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