第45話 いとこが居たとは知らなかった
「後は任せたぞ。レイア」
と言って一足先に屋敷へと入って行くカリショウ御祖父さん。
何か気に障る事を言ったかな?
そう思いまだ僕の手を握っているレイア叔母さんを見る。
御祖父さんの背を見てクスクスと笑うレイア叔母さん。
「? どうして笑っているの?」
「ふふ、御父様。孫に会えて嬉しいようだから」
「どういう」
言葉を続けようとしたら、屋敷から大音声の泣き声が聞こえて来た。
この声って、もしかして。
「お父様ったらリウイ君に会えて嬉しすぎて泣いた様ね」
ああ、やっぱり。
厳格そうな見た目に反して意外と涙もろい人のようだな。
先に屋敷に入ったのは泣く所を見られたくないからか。シャイな所もあるようだ。
そういう所は母さんにそっくりだな。
母さんはレースが着いたヒラヒラした服を集めるのが好きで密かに集めていた。
しかし、こうして周りの人達に服装を見るにどうも着物の様な服を着ている。だから、母さんはああいうヒラヒラした服に興味を持ったのかも知れないな。
本人は隠しているつもりだろうけど、僕とソフィーやティナ達にはバレている。
意外にもイザドラ姉上のお母さんで名前をケドラさんは知っていた。
母さんとケドラさんは仲が良く、偶に一緒に茶会をしているのを見た事がある。
ケドラさんはイザドラ姉上の母親かと思える位に、温厚な人だ。
ぽわぽわしているというか、その人の周りだけ時間がゆっくりと流れていく感じであった。
こんな性格の人からどうしてイザドラ姉上が生まれたのだろう?
とは思う物の、母さんを知っている人からしたらどうして僕が生まれたのだろうと思うかもな。
「お父様の事はほっといていいから。さぁ、中に入りましょう」
「姉さん」
ミズホ叔母さんは僕を引っ張って屋敷の中に入る。
それを見てレイア叔母さんは溜め息を吐いた。
末っ子って結構大変だよな。分かるな。
それからは歓迎の宴が開かれた。
立食式の宴で皆に皿に料理を乗せて談笑しながら食事をしていた。
カリショウ御祖父さんもちゃんと出席していたが、ふと気になった事があった。
セクシャーナトさんの話だと、御祖父さんの奥さんにアイライという人がいたけど、何処に居るのだろうか?
「誰か探しているの?」
僕がキョロキョロしていると気になったのかミズホ叔母さんが話しかけて来た。
「いえ、アイライ祖母さんはどなたなのかと思って」
「ああ、お母様。あの人ならわたしの娘とミズホの娘達と一緒に旅行に出かけたわよ」
「成程。・・・・・・って、えっ⁉」
叔母さん達、子供いたの?
セクシャーナトさんの話だと居ると言う事を言っていなかったような気がするのだが。
「明日には帰って来るからその時に紹介してあげるわ」
「お願いします」
僕は頭を下げる。
「固いわよリウイちゃん。家族なんだからもっと砕けた言い方をしなさいよ」
「はぁ、そうですか」
もう酔っているのか僕の肩をバンバンと叩きながら言うミズホ叔母さん。
しかし、いとこか。どんな人達なんだろう。
「どんな名前なの?」
「わたしの娘は二人で姉はアンジュで妹アユラはと言うの。レイアの子供は二人で姉はノイカで妹はナギサと言うのよ」
えっ、全員従姉なのか?
というよりも、僕が生まれるまでは男はカリショウ御祖父さん一人だったのか? それは肩身が狭いだろうな。




