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第38話 手紙が来た

 それからは、騒動を聞きつけた衛兵の人達に事のあらましを話してアル―マン達を引き渡した。

 結果、会頭の息子で副頭が犯罪を起こしたという話が瞬く間に副都に広まった。

 これを機と見たのか僕の所以外の商会がラクロワド商会叩きを始めた。

 どうやら、そうとう煮え湯を飲まされたのかこれでもかと言うぐらいにラクロワド商会は叩かれていた。

 縁がある役人達も助けでもしたら、自分にも火の粉が掛かると思ったのか縁切りをしたそうだ。

 それが止めになったようで、ラクロワド商会は潰れた。

 会頭ボルガル及び副頭のアル―マンほか一部の者達は奴隷落ちになったそうだ。

 可哀そうだが、これも商売に失敗した者の末路だ。

 どうか真っ当な人に買われる事を祈ろう。

 ラクロワド商会が潰れた事で、今度はその商会の跡地を巡って水面下の戦いが始まった。

 店を見た感じ、かなり広かった。あれだけ広いのなら皆の寮ぐらいにはなるだろう。

 この前、そろそろ宿じゃないところで暮らしたいとティナが言って来た。

 ティナがそう言うという事は、皆もそう思っているだろう。

 しかし、他の商会も欲しいと思っている所に僕が欲しいと手を挙げても誰も譲る事はしないだろうな。

 此処はリアフォさんに相談して何処か良い場所が無いか聞いてみるか。

 そう考えながら、店の休憩室で休憩をしていると、ドアがノックされた。

『失礼します』

 そう言って部屋に入って来たのはソフィーだった。

 手に何か持っているな。封に入っているから手紙か?

「どうかしたの? ソフィー」

「……リウイ様宛にお手紙が届きました」

 真面目な顔でソフィーは封に入った手紙を僕に渡した。

 手紙ね。誰からかな。

 封を切り、中身を広げて目を通した。

「………………ぎゃああああああっっっ‼⁉⁈‼」

 目を通して直ぐに悲鳴を上げてしまった。

「リウイ様。お気持ちは分かりますが、どうか気をお鎮め下さいっ」

 ソフィーは僕を宥めだした。

 一応、この部屋は防音対策はしてあるので大丈夫だが、それでも気を静めないと。

 ひー、ひー、ふー。ひー、ひー、ふー。

「って、ラマーズ呼吸法で落ち着けるかっ」

 自分で自分をツッコミするぐらいに僕は混乱していた。

 何で⁉ どうして⁈

 見間違いかと思い、僕はもう一度手紙に目を通した。


『 可愛いい弟リウイへ。


 謹啓 春爛漫のみぎり、いよいよご壮健の由、大慶に存じ上げますのじゃ。

 そちらは商売の基盤を公国に移しても大変繁盛している事、誠に喜ばしき事なのじゃ。

 さて、この度、筆を取りましたのは魔国でする事が大体終ったので、そろそろ可愛い弟である其方の顔を見たいと思い手紙を出したのじゃ。

 近々、他の妹達と共に其方の下に行くつもりじゃ。

 また会える日を楽しみにしているのじゃ。

 それまでは忙しいじゃろうが、くれぐれも無理はしないでご自愛する様にするのじゃ。



                               ロゼティータ』


 何処をどう見てもロゼ姉様の字であった。

 何で、僕が此処に居る事が分かったんだろう? 

 もしかして、僕が連れて来た人達と情報のやり取りをしているとか?

 いや、そんな事よりも今は大事な事がある。

 手紙にの一文にもあった。

『近々、他の妹達と共に其方の下に行くつもりじゃ』

 この一文の方が大問題だ。

 勝手に魔国に出た事は問題と言えば問題だけど、ミリア姉ちゃんもフェル姉もヘル姉さんも謝ったら許してくれるだろう。

 ロゼ姉様はごねるかも知れないが、平身低頭で謝れば許してくれるだろう。

 問題は一人。イザドラ姉上の方だ。

 勝手に出ていた事で怒っているだろうな。こちらは謝っても許してくれる気がしない。

 下手をしたら、何か居付きそうな気がするんだよな。

「ぬ、ぬううっ……これはかなり問題が起こったぞ」

「ですね。どうしますか?」

 ソフィーも苦笑していた。

 どうしますかって、正直に言って逃げたい。

 しかし、何処に逃げるかなんだよな。逃げる当てが無いからな、どうしたものか。

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