第37話 早い決着だった。
ボルガルからの宣戦布告?を受けた僕はバシドに命じて敵の内情を調べさせた。
調査結果によると、どうやらこの副都の役人で偉い人に頼んで、僕の店を潰す様にするつもりの様だ。
最も頼もうとしても、その手紙はバシドに頼んで奪わせたけどね。
運んだ者達は金を渡して「渡して返事は後日する」とだけ言えと言うと、皆喜んでその言葉に従った。
嘘を付いているのでは?と思い調べさせたけど、どうも殆どの従業員に給料が貰っていない様だ。
なら、辞めさせれば良いのではと思ったけど、会頭のボルガルがあの手この手で辞めさせない様にしているそうだ。
流石に三食の食事は出ている様だが、従業員達は不満が溜まっている様だ。
ちなみに、一部の従業員には給料は出ているようだ。その一部はどうも親族筋の人達の様だ。
それで余計に不満が溜まっている様だ。
ふむ。これは一押しすれば勝てるが、問題はその一押しなんだよな。
どんな手を使うか。そう考えながらも良い案が浮かばず数日が経ったある日。
「リウイ様」
その日も仕事をしながら、どのような手を使うかなと考えているとバシドが傍に現れた。
「何かあった?」
「今宵、デカス商会の者達が店に火を放つ計画をしているようです」
「随分と強硬手段に出たね」
「役人達が思い通りに動かないので、もう後がないと思いこのような愚行をする事になったようです」
「そうか。じゃあ、戦うのが好きな人達に声を掛けておいて」
「分かりました」
バシドが一礼して傍を離れた。
その夜。
一部の人達以外、皆宿や家に帰した。
僕は事の顛末を見たいと思い、ルーティと部下の数人と共に店の近くにある物陰から見る事にした。
窓から外を見ていると、松明を持った一団が店に向かって来るのが見えた。
その一団が僕の店の前まで来た。
その瞬間、店の周りにいる皆がその一団を包囲しだした。
「此処だ。お前等、火を掛けろ。燃やしてしまえっ」
この声はアル―マンか。わざわざ来なくても良いだろうに。
これで言い逃れる事は出来ないな。
僕が手を挙げて合図を出した。
すると、店からも店の周りに隠れていた皆が出て来て、僕達はアル―マン達を瞬く間に包囲した。
「なに⁉」
「囲まれたぞっ どうする?」
「話が違うじゃねえか!」
アル―マン達は囲まれながらも得物を抜いた。
抵抗する意思はあるか。じゃあ、仕方がないな。
「じゃあ、ダイゴク」
「お任せを」
ダイゴクが前に出ると刀を抜いた。
「叩きのめせええええええっっっ⁉」
「「「おおおおおおぉぉぉぉぉぉっっっ‼‼⁉」」」
喊声と共に得物がぶつかる金属音が聞こえだした。
その戦闘も数十分後に止んだ。アル―マン達は皆捕縛された。




