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閑話 女は怖い

 今回はウラー視点です。

「はっはは、弱い弱い。こんな奴らなんかウイスキーを片手に飲みながらでも勝てるぜっ」

 伊達に『義死鬼八束脛』の部隊長を務めていないんだよ。

「あ、あ、あああ……」

 うん? 何だ。このすかした奴は?

 腰を抜かしているが。……うん、漏らしてはいないようだな。

 こいつ、どうしたら良いかな。

「ウラー。そっちは終わったか?」

「おう。終わったぜ。イクス」

 俺達の周りにはこのすかした奴が連れて来た奴らが地面にキスをしていた。

 こんなに弱いんだったら、後千人連れて来ても勝てるな。

「ふん。そんな事よりも、これからどうする?」

 ベリアルがそう尋ねて来た。

 俺はこいつの事どうも好きになれない。向こうも態度から察するに俺の事は好きではないだろう。だが、お互いの実力は認めている。

「これからって、あれだよな」

「うむ。若の護衛の件だな」

 俺達が若と呼ぶリウイは俺が所属する『義死鬼八束脛』の初代総長のハバキの姐さん息子で、その縁で今は一緒に仕事をしている。

 現総長のダイゴクの兄貴の話だと、手紙と一緒に数年は仕事しなくても良い位の金も同封されていたそうだ。金と姉貴分の頼みという事で兄貴はその依頼を受ける事にしたようだ。

 総長の兄貴がそう決めたのなら、俺達は文句ないし副長のクレハの姉御も同意したので問題ない。

 それで会ったんだけど、初対面は本当にあのハバキの姐さんの子供か?と思った。

 姐さんが魔国に行くまでは俺もダイゴクの兄貴の部隊で分隊の隊長をしていたから、何度か顔を合わせた事がある。

 正直に言って、絶対に敵に回したくねえ人と思った。

 あの触れれば切れる抜身の刀のような雰囲気。雷光の様に鋭い眼差し。

 万人力の剛勇。敵であれば情け容赦なく殺す冷酷さ。それでいて大抵の事は笑って許す度量を持っている。その気になれば、一国一城の主になれるんじゃねえのかと思ったぜ。

 本人はそんな気は無かったようだけどな。

 で、その息子のリウイにあった時は真逆だと思ったね。

 のほほんとした雰囲気。穏やかな性格。陽だまりの様に優しい眼差し。あまり強そうに見えない体格。

 誰に対しても寛容さ。唯一同じなのがどんな事でも許す度量ぐらいだな。

 あまり似てないと思ったが、兄貴や姉御は『小さい頃のハバキ様にそっくりだ』とか言っていた。

 そうか?と思ったのも最初だけだ。

 で、こっちに来て基盤といえる物が無い状態なのに、商売を始めて大儲けしたのは驚いた。

 その上、儲かった事で妬んだ商会を本人は「嫌がらせ」と言っていたが、あれはもう立派な仕返しをして、その上そいつらの財産も合法的に奪いやがった。

 姐さんはどちらかと言うと武に特化していたが、若の方は智謀に特化しいる感じだった。

 改めて、姐さんの子供だなと理解した。他の奴らは商売が成功している時点で認めていたと言っていたのは驚いたけどな。

 その若が外に出る時は、護衛を付けるのだが俺達も密かに護衛に付いている。

 命じているのはダイゴクの兄貴ではなくクレハの姉御だ。

 姉御曰く、ハバキの姐さんの子供なんだからちゃんとお守りしないと駄目と言われた。

 ちょっと過保護じゃないかと思うが、まぁ、俺は姉御が怖いので逆らう気はないので従う事にした。

 ダイゴクの兄貴よりも怖いからな。流石は姐さんの妹分なだけはあるぜ。

「バレたよな?」

「話から察するに」

「どうする?」

 俺達は頭を捻ったが。良い答えは出なかった。

「……とりあえず、護衛は続けるか?」

「そうだな」

「護衛の仕事をすれば怒りはしないだろう。・・・・・・多分」

 目的地は分かっているので、俺達はその場所の近くで時間を潰しながら護衛を続けた。


 で、若が話が終って店に戻るのを見届けた。

「これで任務完了か」

「ああ、そうだな」

「暇すぎて疲れたぜ。こんなんだったら、ロボオルグに変わって貰った方がよかったぜ」

「あいつ、若の事をどう思っているんだろうな?」

「無口すぎて何を考えているか分からないからな」

 一時期、部隊の指揮とかどうしているのか気になったぜ。

「少なくとも、敬意は持っているのわ分かるわよ」

 俺達の背後から女性の声が聞こえた。こ、この声は?

 俺達は少しづつ首を動かして振り向いた、その先にはクレハの姉御が居た。

「あ、姉御」

「お疲れ様です」

「無事、任務を完了いたしました」

 俺達は報告すると、姉御は笑顔を浮かべていた。

「そう。完了したの? わたしが何と言ったのか覚えている?」

「「「それは……」」」

 やばい。バレてる。

「そこの所でじっくりとお話をしましょうか」

 ニコリと笑う姉御。

 俺達は足が恐怖で震えて動けなかった。

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