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第34話 前にも似たような事があったな

 数日後。


 店は今日も大繁盛で沢山の客でにぎわっていた。

「今日も繁盛だね」

「はい。後の事はお任せを」

「じゃあ、頼んだ」

 僕はソフィーにそう言って店を出る。『鳳凰商会』に用事があったので出掛ける事にした。

 その後はこの副都をブラブラしようと思う。一応、護衛としてアルトリアを連れて行く。

 

 店を出た僕はアルトリアの背に乗って少し歩く。

「おい。あれって」

「ああ、『翔鵬商会』の有名な」

「ケンタウロスに乗る子供会頭だよな」

「あんな可愛い見た目で結構、やり手らしいぜ」

「俺も聞いたぜ。何でも、『鳳凰商会』の会長と昵懇の仲とか、デカス商会を傘下にしてラクロワド商会を追い詰めているとか」

 アルトリアの背に乗る僕を見るなり話しだした。

 子供会頭か。確かにこの世界ではまだ成人ではないから子供と言われてもおかしくないか。

 精神年齢で言えば、中年なので受け入れがたいけど仕方がないか。

 そう思いながら歩いていると、目の前にシャルさんが居るのが見えた。

 声を掛けようとしたら、シャルさんの前を男性達が立ちはだかった。

 話しているのは見えるが、どうも仲良く話している風には見えないが声は聞こえない。

 どちらかと言うと道を遮っている様に見えるが。何がしたいんだ?

「アルトリア」

「御意」

 僕が声を掛けると、アルトリアは心得ていたのかシャルさんの下に向かう。

 近づいた事でようやく声が聞こえて来た。

「お前の家の借金を倍にしても良いんだぞ? うん?」

「卑怯者。利子の分は払ったのにそんな事をするなんてっ」

「うるさい。なら、早く残りの金の三日以内に返せ。そうしたら、倍にしないでやる」

「そんな事をしたら流石に訴えるわよ」

「ああ、いいぞ。だが、この副都の偉い役職に就いている者達は、皆うちの商会の知り合いだ。だから、お前達の事には口を出さない様に出来るんだぞ」

「くっ……」

 シャルさんは悔しそうな顔をしている。

「まぁ、借金を返さなくても、お前が俺の愛人になればそんなモノ棒引きにしてやるが、どうだ?」

「何度も言っているでしょう。その話はお断りします」

「そう言わず、なぁ」

 男の人はシャルさんの腕を取って引っ張ろうとした。

 これは完全にアウトだな。

「リウイ様。どうしますか?」

「仕方がない。『(ウィンド)()(アロー)』」

 そう唱えると、手の中に風が集まって矢の形になって放たれて、丁度シャルさんと男の間に突き刺さった。

「ん⁉」

「おっ、危なっ⁉」

 二人は驚き、距離を取った。

 その隙にアルトリアは二人の間に入り込んだ。

「あっ」

「どうも。お困りのようだったので割り込ませてもらったよ」

 シャルさんにそう答えて、僕は男の方を見る。

 その顔をよく見ると、確かラクロワド商会の副頭のアル―マンであった。

 ああ、それで借金を倍に出来るとか話が出来たんだ。納得。

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