第33話 効果が出て来たな
それから数日。
今日は月に数日にある全店休日。
シフト制にしてあるので、店員の人達は疲労で倒れないようにしているがそろそろ店の設備の点検などをしたいので全店休日を設ける事にした。
僕も今日は休みで店の外に出る事にした。
一人では流石に悲しいので皆に声を掛けた。
「ふっふ~ん、~~~」
「……っ、きょうはよろしくおねがいします」
「ふんっ」
椎名さん、ジェシー、ティナの三人が付いて来てくれた。
他の人達は用事があるとの事で断られた。
僕は右に椎名さんに左にジェシーに挟まれて、後ろにはティナが居る状態で歩いている。
「久しぶりにリウイ君と歩けるね~」
「そうだね」
「こ、こうして、一緒に歩けて嬉しいです」
「ありがとう」
二人は僕の手を掴みながら話しかけて来る。
ニコニコと笑いながら話すを二人を見て、そんなに嬉しいかな?
そんな事を思っていると、尻が抓られた。
「痛っ⁉」
いきなり尻を抓られたので振り返るとティナが唇を尖らせていた。
「な、なに?」
「別にっ‼」
顔を背けるティナ。何をそんなに怒っているんだ?
不思議に思いながら、僕達は歩いていた。
露店などに顔を出して気に入った物を買いながら食べ物でも歩きながら食べていると、ある店の前を通った。
「ふん。話にならんっ」
「此処は歴史がある商会だと思い援助をしていたというのにっ」
店の外を出た客が怒髪天を突きながら何処かに行った。
これは効果が出ているな。
「ねぇ、リウイ君」
「何? 椎名さん」
「此処ってラクロワド商会の店でしょう?」
「そうだよ」
「此処ってそれなりに有名な商会なのに、どうして客が怒って出て行ったの?」
「う~ん。多分だけど、商品がないんじゃない」
「商品が無い?」
「どういう事?」
三人は意味不明な顔をしていた。
まぁ、それだけ訊けばそうだよね。
「ここ数日、原石とプラチナを購入していたから、細工に使う宝石が尽きたんだろうね」
「? 宝石が尽きても何処かで買うなりすれば」
「バシドに調べさせたんだけど、ラクロワド商会は鉱山を幾つか持っていて、其処から宝石や金銀、プラチナの鉱床があるそうだよ」
「成程。そこから採掘して安く販売していたのね」
「それであんなに安かったんだ」
「じゃあその鉱山の鉱石が尽きたという事かしら?」
「違うよ。その鉱山に魔物が沢山棲みつかせて採掘できないようにしたんだよ」
「「「えっ⁉」」」
僕の説明を聞いて三人は目を見開かせた。
ちなみに、魔物を棲み付かせた方法は狩猟班が使う魔物招き寄せる匂い袋をその鉱山に置いた。
それにより鉱山に魔物が棲みついた。
採掘できなくなったから出来る限り商品を品切れないようにしたつもりだろうが、限界に達したようだ。
「でも、それだったら魔物を追い払う為に傭兵とか冒険者とか雇えば良いんじゃない?」
「鉱山に棲み付いているのは強い魔物しかいないよ。ランクで言うとB~A級の魔物が棲みついているから。それにね、実は鉱山の権利書をバシドに盗んでもらったんだ」
「ぶっ。それって」
「ちなみに、その権利書は僕が持っています」
「……じゃあ、もし依頼を達成しても依頼金が払えないかも知れないという事になるのですか?」
「そうなるね」
実際、依頼書に書かれている依頼金が日が経つ事に段々下がっていると報告を受けていると聞いている。恐らく金が無くなってきたんだろうな。さて、これからどうなる事やら。




