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第32話 仕返しの準備は着々と進んでいく

 翌日。


 店は何時ものと変わりなく動いている。

 いや、一つだけ違う所があった。

「~~~~~~」

 二階の喫茶スペースにあるお立ち台でジェシーが歌っている。

 夜営業だけ歌っていたが、昼も歌を聞きたいという声があった。

 今、歌えるのはリリーさんとジェシーの二人しかいない。流石に昼も歌って夜も歌うのは疲れるだろうなと思い控えていたが、ジェシーが昼も歌いたいと言う。

 本人がそう言うので、一日おきに歌ってもらう事にした。

 一応、リリーさん達に確認を取ったが、本人がやりたいと言うのであれば良いとの事だ。

『あの子は奥手だと思ったけど、やっぱり、わたしの子供だったのね~』

 とニヤニヤしながら言うリリーさん。

 どういう意味だと思い本人に訊ねたが教えてくれなかった。

 店の事はソフィー達に任せて、二階で歌を聞いていた。

「良い歌声だよな」

「ああ。ハスキーだけど甘い声。それでいて心を訴えるんだよな」

「俺は夜に聞いた事あったけど、その時も良い歌声だと思ったけど何かもう一つ足りないなと思っていたんだけど、今は凄い美声なんだよな」

 どうやら、ジェシーのファンなのか聞いている人達はうっとりとしていた。

 声には力を宿るって昔から言うけど、ジェシーの歌声は人を魅了する力を持っているんだな。

 僕の視線に気づいたのか、ジェシーは僕の方を見て可愛い笑顔を浮かべた。

「「「~~~~~~っ⁉‼」」」

 その笑顔を見てドキンとしたが、他の観客達はその笑顔を見て惚れた様な顔をしていた。

 う~ん。まさに傾国の微笑みだ。

 これで同い年なのだから成長したらどうなるのだろうと恐怖していると、何時の間にかバシドが傍に居た。

「リウイ様」

「ああ、バシド」

「頼まれていた物をお持ちいたしました」

「ご苦労様」

 バシドに頼んでいた物を貰い目を通す。

 良し。これで向こうは大変な事になるな。

「バシド。今日から数日間、ラクロワド商会で原石とプラチナを数回に分けて買ってきて」

「数回に分けるというのは、どういう事でしょうか?」

「何人かに別れて原石とプラチナが品切れになるまで買ってきて」

「別けるのはなぜですか?」

「買う人の顔を覚えられないようにする為」

 同じ人が買い占めしていると思われない為だ。同じ人が買っていたら怪しいと思われて売ってくれなくなるかもしれないからな。

「分かりました。では、直ちに」

 バシドは一礼してその場を離れて行った。

 その後は、僕は歌を聞いていた。

 今度、前世で好きだった歌を教えて歌ってもらおうかな。

 君がくれたものとか夏祭りとか。

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