第26話 これがいいな
僕達はラクロワド商会の店の前に来た。
「ここね」
「そう言えば、この商会は主に何を扱っているの?」
「ああ、それはね。この商会は主に鉱物を使った商品を扱っているそうだよ」
「鉱物ね。という事は宝石とかそういう物かしら?」
「多分そうね。ねぇ、リウイ。それをどうやって真似るの?」
「まずはどんなの扱っているか見ないと何とも言えないな」
そう話しながら僕達は店の中へと入って行った。
店内は思ったよりも広く天井を高くしているお蔭で開放感があった。
その天井には見事なシャンデリアが飾られていた。
あれだけでも相当な値段だと言うのが見ただけで分かった。
次に売り場を見た。
売り場にはガラスの仕切りの中に金、銀などが使われた商品が所狭しと並べられていた。
大小さまざまな宝石も散りばめられているので、これはかなり高いだろうなと見ると一万ゴルドであった。思わず値段が書かれた紙を見て驚いた。これは安すぎだろう。
これだけの細工なら技術料と宝石の値段を加味しても十万ゴルドはするだろう。
気になって店員を呼んで持って見ても良いかと訊ねた。
店員は駄目とは言わず、どれを持って見たいのかどうか聞いてきたので先程値段を見たのと別な物を二つ選んだ。
店員が仕切りの出し入れする所から僕が言った物を渡してくれた。
それらを持って、どうしてこんなに安いか直ぐに分かった。
中々、巧妙に隠しているけどこれは鍍金だ。
持った瞬間、かなり軽いのですぐに分かった。
それらを店員に返すと、僕は店内の売り場にある商品の値段を見た。どれも大体一~二万ゴルドする商品で中には十万ゴルドを越える商品もあった。それは鍍金ではない銀細工の商品だった。
成程。鍍金していない商品を目玉にしつつ儲けは鍍金商品で稼ぐという方法か。
上手いやり方だけど、客はこの店の商品の殆どが鍍金だと分かって買っているのか、それとも知らないで買っているのかどうかで客足は変わるだろうな。
此処の所は後でバシドに調べさせるとして、問題はどうコピーするかだな。
細工物だからな。こちらも細工を扱う職人を雇わないと駄目か。
いや、それとも人工的に宝石を作って売るか?
資金は大丈夫かも知れないけど、設備が難しいな。
うん? でもそういうのに詳しい一人がいるな。
その人に頼むか。でも、もう一つ何か欲しいなと思いながら店内を見ていると、ある棚を見た。
其処には宝石が加工する前の原石の状態で置かれていた。
何でそんなのが置かれているのか気になり、僕は近くにいる店員に訊ねた。
「すいません。どうして、あそこに原石の状態で置かれているのですか?」
「ああ、偶に加工されていない状態の原石で欲しいというお客様がいまして、原石なのでほぼ捨て値で販売しています」
「成程。……うん?」
そうしてその棚を見ていると、ある物を見つけた。
これはもしかしてプラチナ?
加工もされていない状態で置かれていた。
よく見ると他にも何の手が加えられていない金属が幾つもあった。
「すいません。あれらの商品も売り物なのですか?」
「はい。最も原石同様に捨て値で販売しています」
「そうですか。じゃあ。あそこにある金属を九つほど買います」
「ありがとうございます。では、直ぐにお包みしますね」
店員の人がその棚から金属を取って紙袋の中に入れてくれる。
ふふふ、まさか。思いもしない商品に出くわすとは。これで仕返しが出来るっ。




