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第25話 売り上げは上がった

 ソフィーの提案に従ってこの副都にホイルの事についての悪い情報をばら撒いた。

 曰く、翔鵬商会のタイヤの廃材で作った物。

 曰く、本来は商品にならない物を高い値段で売っている。

 曰く、デカス商会で売っている物は全て粗悪品だ。

 という話をばら撒いたお蔭で、タイヤの売り上げが伸びた。

 代わりにデカス商会の売り上げが全体的に落ちたという情報は直ぐに入った。

 これで国が違っていたら少しは違うのだろうけど仕方がないね。

 店の休憩室で相手はどんな手で来るかなと考えていると、天上から音もなくバシドが現れた。

「ご報告いたします。リウイ様」

「何かあった?」

「はっ。最近、クリストフ親子の周りをうろつく者達を見つけました。調べました所、どうやらラクロワド商会の者達のようです」

「ふ~ん。タイヤの製造方法を知っていると嗅ぎつけたのかな?」

「動きからして断定はしてないようです。どちらかと言えば探りを入れているという感じです」

「成程。デカス商会の方は?」

「そちらは日々売り上げが落ち込んでいっております。調べました所、商会の会頭はラクロワド商会に援助を求めましたが、焼け石に水にしかならないので、近々援助を打ち切り傘下から放逐するという話が出ているそうです」

「それは可哀そうだね」

 そろそろ頃合いか。

「バシド。そのデカス商会の人に言付けを頼めるかな?」

「何と伝えるのですか?」

「近い内に、そちらに話があると伝えて」

「承知」

 そう答えるなり煙の様に姿を消すバシド。

 さて、こちらも動かないとな。

 部屋を出ると護衛をしてくれる人に声を掛けた。


「んふふふ~~~」

「むうぅ・・・・・・」

 店を出た僕は何故かボノビビとカーミラに両腕を取られながら歩いています。

 当初は誰か護衛役として一緒に行こうとしたのだが、行きたいという候補があまりに多いのでクジ引きになった。で、当たりを引いたのがこの二人。

 二人と身長差があるので、これではデートというよりも姉二人に挟まれた弟みたいな図になっている。

 正直に言おう。すっっっごい嫌だ。

 片方は前世の僕を知っており今の僕も慕っている女性

 もう片方は今の僕に好意を持っている女性。

 二人共、美人だ。そんな美人に挟まれて嬉しいと思うのは男の性ではあるが、身長差があり過ぎて通りかかる人達皆に。

「仲の良い姉弟ですね」

 と言われる。

 色々な意味でショックだ。

「リウイ。人が言う事に気にしても仕方がないよ。それよりも今はデートを楽しまないと」

「何を言っているの? これはデートでは無くて敵情視察よ。其処は勘違いしないで頂戴」

「そう固い事を言わないの。こうして、どんな理由だろうとリウイと一緒に外に出て来れたのは喜ばないと」

「それはそうかも知れないけど」

「なら、楽しまないと」

「それもそうね」

 根は真面目なカーミラ。自由奔放なボノビビ。

 クジ引きでこの二人が当たった時は衝突しないか不安だったけど大丈夫そうだな。

「ところで、リウイ。何処に行くの?」

「ラクロワド商会の店」

「其処って、今うちの商品をコピーした物を売っている商会を傘下にしている商会じゃなかった?」

「そうだよ」

「其処にわたくし達を連れて行くのは何故かしら?」

 別に隠す事ではないので話すか。

「向こうが僕達の商品をコピーしたんだったら、こっちもしても良いとは思わない?」

「……成程。ようは同じ事をするのね」

「そう。それも一番人気がある商品をコピーするんだ。しかも、劣化じゃなくて向上したコピー商品を売るんだ。これこそ痛快な仕返しはないだろうね」

「流石はリウイね」

「まぁ、やられたらやりかえすのは当然よね」

 納得した二人に挟まれて僕達はラクロワド商会の店へと向かう。

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