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第15話 これで良しっ

 翌日。


 目覚めた僕は朝食を取り終えると、比較的頭の良い人達だけを集めて会議を行った。

 議題は二階をどうするか。

 僕はクリストフ親子にテナントと言っても分からないだろうから店子にしないかという案をあげた。

 てっきり、満場一致かと思われたが反対が多かった。

 反対意見を聞いた所、その借りるクリストフの子供達がどんな性格か分からない。

 これに尽きた。

 そう言われたら、僕も返事に困った。

 クリストフの奥さんの歌はこの副都で一番上手いと言われている歌手らしいから集客率が上がるかもしれない。

 しかし、歌が上手いからといってそれに比例して性格が良いとは限らない。

 こうなったらその人と直接会って確かめるしかないか。

 誰かに呼んできてもらおうかと思っていたら、宿の人が談話室に入って来た。

「お客さんだよ。クリストフの家族って言えば分かるって言っていたけどどうする?」

 良いタイミングで来たな。

「通して下さい」

「あいよ」

 宿の人が部屋を出て行き、少しすると。

「初めまして。クリストフの妻のリリーと申します。昨日は娘がお世話になったそうでありがとうございます」

 談話室に入るなり頭を下げてお礼をするリリーさん。

 ふむ。顔立ちは娘さん達にそっくりだな。娘達は母親似か。

「いえいえ、僕は突然の事をしただけですからお気になららずに」

「そう言ってもらえて助かるわ」

 ニコニコと笑顔を浮かべるリリーさん。

 何だろう。何かオーラというか眩い後光みたいなものを感じるな。

 王族って言われても何か納得する雰囲気だ。

「わたしの顔をジッと見ているけど、何かしら?」

「……いや、美人だったのでちょっと見惚れていました」

「あら、やだ。わたしは人妻なのよ。口説くのなら娘にして頂戴、三女のジェシーなら年齢がピッタリだろうし」

「そうなんですか?」

「あの子今年で十五だから、リウイ君もそれぐらいでしょう」

 それを聞いてちょっと驚いた。

 あんな美人が同い年か。という事はティナとも同い年。

 …………身長もあるけど、あの胸部はな。

 本人には言えないけど確実に負けているな。ある部分と言うか女性の象徴といえる所が。

「コホン。リウイ様。考えるのも良いですが、この者の歌の実力を知る方が良いと思います」

 おっと。ついつい同い年なのにあそこまで違うのかと思っているとソフィーが咳払いしながら注意して来た。

「そうだな。まずは歌を聴かないと話にならないか。ソフィー」

「はい」

「とりあえず、あの店に行って歌がどれくらい響くかテストもしたいから『鳳凰商会』に行って鍵を借りて来て」

「分かりました」

「何か楽器とかいります?」

「いえ、無くて大丈夫よ」

「じゃあ、これから仕事をしてもらう所に行ってそこで歌を歌ってくれますか」

「ええ、構わないわ」

「じゃあ、移動しようか」

「お待ちください。歌を聴くだけであれば、別に此処で歌わせれば良いだけです。なのに、わざわざ移動する必要はないと思いますが」

 ランシュエが此処で歌えと言うと、巧妙に隠しているけどリリーさんが僅かに顔を顰めた。

 此処はフォローしなければ。

「呼んでも居ないのに来てもらって歌えと言うのは失礼だろう。それに二階の音響状態も知りたいからあそこで歌ってもらうんだよ」

「成程。失言でした」

 僕は気にするなと手を横に振る。

「ふぅん。……」

 何かリリーさんが僕を興味深そうに見ている。何か落ち着かないな。

 そして、移動してリリーさんに歌を歌ってもらった。

 どんな曲名なのか知らないが、バラードみたいな歌で気分が落ち着く歌であった。

 歌を聞いた皆は問題なしと言い、音響状態も特に問題ないと分かった。

「正式に店子にしたいですが。どうだろうか?」

「勿論。構わないわ。給料については応相談という事で」

 それについてはそれで構わないと言うと、リリーさんは嬉しそうに笑いだした。

 これで二階の方は良いな、後は開店準備だ。これから忙しいくなるけど、頑張ろう。

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