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第7話 これは使える

「うん? 何だ? 冷かしならどっかにいってくれるか」

 先程、手ひどく馬鹿にされた事が根に持っているのか男性は蠅を追い払うかのように手を振る。

 それを見てアルトリアはムッとしたが、僕は手で制した。

「聞いても良いですか?」

「何だ?」

「これはもしかして……ゴム?」

 男性の近くにある白い四角形の男性がある物体を見て呟いた。

 僕がそう言うと、男性は不思議そうな顔をした。

「ゴム? 何を言っているんだ。これは『ゴーミマ』という物だぞ」

「「ご、ごーみま?」」

「そうだ。見ろ。この弾性を」

 男性は持っている四角いゴーミマを両手で持って曲げだした。

「どうだ。何度、曲げても折れないこの弾性を」

「おおっ」

 僕は思わず拍手した。

「これを使えば、色々な物に使え筈だ。……多分」

 最後の方、声が小さいけど多分って言ったな。

 この人。もしかしてその『ゴーミマ』の価値が分かっていないようだ。

 これは使えるぞ。商売のタネになるな。

 前世ではゴムを作ろうとしたが、肝心のゴムの木がみつからなかったので断念した。

 他の木で代用できるかと試したが駄目だった。

「そのごーみま? というのはどうやって作ったんですか?」

「お前。興味があるのか?」

「ええ、かなり」

「よし、特別に教えてやろう。このゴーミマはな」

 その後男性がどうやって作ったのか自慢話が続いたが、要約するとこうだ。

 この男性名前をクリストフと言い、故郷に生えているゴーミマの原料になる木を何とか使えないかと試行錯誤した結果出来たそうだ。

 その木は薪にしたら有毒なガスが出るわ。傷をつけると其処から黒い樹液が出るという厄介な木であったそうだ。

 ただ、温泉の嫌な空気を吸収する事が出来るので伐採される事はなかったそうだ。

 とは言え、他に何か使い道が無い物かとクリストフは研究した。

 研究の結果。この『ゴーミマ』を作り出す事に成功した。

「であるからして、わたしはこのゴーミマには多様な使い方があると思う。しかし、その多様性を見せるには色々と問題があるが其処はスポンサーを見つけて売り込めばいい筈だ。今の所このゴーミマのレシピはわたししか知らない。いずれ、多くの人々がこのわたしにこのゴーミマの製造方法を聞きに来るはずだ‼」

 クリストフは熱弁しだした。

「じゃあ、その多様性を示せば僕にレシピを教えてくれるんですね?」

「うん? う~む。まぁ、そうだな。しかし」

 クリストフは僕達を見る。

「‥………何処かの貴族のお子様か?」

 お供を連れている事とまだ若いのでそう思うのは仕方がないな。

 面倒だし。此処で訂正するのは止めよう。

「明日。此処に来て下さい。そうしたら、そのゴーミマの多様性を見せる事が出来ますよ」

 僕は紙を出して、其処に借りる店舗の住所を書いた。

「……分かった」

 地図と僕を交互に見たクリストフは頷いて離れて行った。

 さて、明日が楽しみだな。

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