第6話 マーケティングは大事
アルトリア達と一緒に市場に向かう僕。
市場に着くと活気がある声が聞こえて来た。
客を呼び込む声がそこかしこから聞こえてくる。
「活気があるね」
「それだけこの副都は人の往来が多いという事になりますね」
「だとすれば、大抵の品は揃うという事になるな」
裏を返せばこれはという商品がないと商売が難しいという事だ。
市場で売られている物も、公国の名産の物とこの副都では有名だが他の市場では出回らない物や他国と思われる物が山の様に積まれていた。
良く見るとアラクネの生糸もあった。
流石に僕が売っているみたいに着色した物ではないし輸送過程かそれとも品質が問題なのか、あまり品質は良くないようだ。
しかし、品質で勝ったとしてもそれだけで商売するのは問題だ。
何か起こってバシド達が糸を作れなくなったら、それだけで大損害だ。
なので、それ以外の目玉商品も考えないとな。
こういう時に前世で見た漫画みたいな能力があったらな。
主人公はゴミを木に変える能力だったな。あれはあれで良いなと見ていて思った。
だって、木材取り放題だから。
まぁ、無い物ねだりをしても仕方がないか。今は何が出来るかを探さないとな。
そう思いながら歩いていると、何か前方に人だかりが出来ていた。
「何だろう?」
「さぁ」
「聞いてみるか」
アングルボザがその人だかりの所に行き、野次馬の人に何が起こっているのか聞いた。
「聞いてきたぞ」
「何が起こっているの?」
「自称発明家が自分が作った物を商人に売り込んでいるそうだ」
「売り込みか。どんな物を売り込んでいるのか気になるから、ちょっと覗いてみるか」
「はっ。では、わたしの背に」
僕はアルトリアの背に立ち乗りした。これで人だかりよりも高くなるので何が起こっているのかよく見える。
話しているのは二人共男性か。
商人の方はターバンを巻いている四十代ぐらいの人間で、自称発明家?と思われる人は見た感じ三十代ぐらいの鬼人族と思われた。
二人は激しく口論しているのが見えるが話まで聞こえない。
なので、話も聞こうと耳をすました。
「だから、これは画期的な物なんだって、あんたには色々と世話になったから銀貨二十枚で売ってやるよ」
「ふざけるな! こんなへんてこな物が売れる訳ないだろうっ」
「いや、売れる間違いない。何せ、俺が言っているんだから間違いない」
「お前が作った物で売れた物があったか? ガラクタだろうっ」
「違う。あれらは資金が足りないから」
「とにかく、そんなガラクタなど買えん。まぁ、何処に行っても同じだろがな」
「ま、待ってくれっ」
「五月蠅い! 二度と儂の前に現れるな!」
商人方が話を打ち切って何処かに行った。その背を自称発明家の人が見送った。
口論が終ったので人だかりが無くなっていった。
「アルトリア。あの人の傍に行って」
「はっ」
どんな物を作ったのか気になり一目見る事にした。
人がはけていくので容易に進めた。それで、自称発明家という人の傍にある物を見る。
・・・・・・これは⁉




