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第5話 何か曰く付きなのでは?

「店舗は四階建て。地下一階と地上四階。地下は商品の保管庫と金庫。地上一階は売り場。二階は住み込みの従業員の部屋と倉庫。三階はこの店の主人の親族達が暮らした居住スペースという区分けされているが、建物の中を見ますか?」

 リアフォさんがそう尋ねて来た。

 建物の中に入る前に聞きたい事があるので、僕はリアフォさんに顔を向ける。

「あの、こんなに立派な店を貰っても僕達は何も返す物はないのですが」

「と言われてもな。副都(ここ)ではこの店以外は空き店舗はないのだけど」

「そうですか。それで、この店はこんなに立派なのにどうして誰も使わないのですか?」

 腹芸をしても意味がない。此処は直球に訊ねる方が速い。

 そう思いながらリアフォさんに尋ねると、鼻の頭を掻きながら答えてくれた。

「実はこの店は昔、うちの店のライバル店の持ち店だったんだけど、うちと商売で負けてそれから少しづつ景気が悪くなったようでね。数年前に潰れたんだが、商人達はうちに気を使ってかそれとも縁起が悪いのか誰もこの店を買い取って商売する者が居なくて長らく空き店舗だったんだ」

「成程」

 商人は験を担ぐって言うからな。

 商船の船長は三毛猫のオスを大金払って買って船に乗せたという話もあるし、商売で成功する人はパワースポットに良く行くという話がある。

 験を担ぐというのはそれだけ商人にとって大事という事だ。

 まぁ、僕は気にしないけどね。

「成程。そういう訳ですか」

 こちらとしては別に食うに困らない程度の稼げれば良い。

「あの……」

「店の中を見せてもらっても良いですか?」

「ああ、分かった」

 リアフォさんは鍵を出してドアを開けてくれた。

 店の中に入ると思ったよりも綺麗で埃などはなかった。恐らく、定期的に掃除されていたのだろう。

 店の外装を見ても思ったが店内も広い。『ヨドン』で借りた店の数十倍広い。

 これは商品もかなり用意しないと駄目だな。いや、此処は商品価値を高める為に敢えて生産数を少なくするか? その場合は商品価値は高くかつ安定供給しないと駄目だな。

 アラクネの生糸はできたけど、此処でも同じ事をしても商売が出来るとは限らない。

 う~ん。これは帰って相談だな。

 そう思いながら店の中を隅々まで見て回った。


 店内を見終わると、リアフォさんにこの店舗を借りるが商売をするのは少し先だと告げる。

 そう言うと、リアフォさんは嫌な顔をせず頷いた。

「もし、商売をする時は一報を入れて下さい。そうしたら、直ぐに店の鍵をお渡しするので」

 と言ってくれた。

 僕達はその店の前で別れた。

 宿に戻る前にマーケティングしないとな。

「アルトリア。このまま市場に向かって」

「はっ。畏まりました」

「アングルボザはどうする?」

「これでもお前の護衛だ。着いてくぞ」

「了解」

 僕達は市場に向かった。

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