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第3話 何か温かい物に包まれていると思ったら

 小鳥の囀りが聞こえてきて、朝日が部屋に差し込んで来た。

 それで意識が覚醒した。

 もう、朝か。

 何か節々が痛いけど、温かい物に包まれているので特に寒いとは思わない。

 昨日、アングルボザの酒に付き合っていたが部屋に戻った記憶は無いので、恐らく毛布か何かを掛けたのだろう。

 それに感謝しつつ、僕は頭を動かすと。

 ボヨンという擬音が出そうな弾力はあるけど柔らかい物にあたった。

 何だ、これはと思いながら目を開けて見ると。

「……ぶっ⁉」

 目を開けて周りを見た瞬間、思わず噴きだした。

 床に眠ってる事はまだ良い。部屋に帰っていないしこの宿はベッドは一つしかないので、それは良いのだが、何故か僕の側頭部にアングルボザの胸が当たっていた。

 というか、僕自身がアングルボザの抱き枕状態であった。

 まずい。これは非常にまずい。もし、この状況を誰かにというかティナ達に見られでもしたら。

 烈火の様に怒る姿が目に浮かぶ。

 これは早く逃げねばと思い、アングルボザの腕の拘束を解こうとしたが。

「ん、んん~」

 どれだけ力を込めても拘束が外れる事はなかった。

 と言うか、何かさっきよりもきつくなった気がする。

「起きて。アングルボザ。起きてよ」

 もう朝なので起こそうと思い腕や肩を叩いたのだが。

「zzzzzz」

 全く起きる気配がない。

 仕方が無いので起きるまで揺らしたり叩いたりする事にした。

 僕がこうしてアングルボザを起こすのに奮闘している頃。

 僕の部屋ではそのまま眠ったアマルティアと今日の予定を聞くついでに起こしに来たアルトリアで一悶着が起こっていた。

 更に其処にアルトリアと同じ理由で僕の部屋に訪ねてきたティナとランシュエとカーミラと椎名さん達が加わり副都に着いた翌日の朝から騒々しい一日となった。


 朝の騒動で宿が少し壊れたので修理代とこの後の宿泊代を宿の主人に大目に渡した。

 その後は、五人を説教をして皆には今日は自由に行動をしても良いという事を告げた。

 僕はというと、アルトリアとアングルボザを連れて『鳳凰商会』へと向かう。

 ティナ達が不満そうであったが。僕が「じゃあ宿の修理をしてくれる?」と笑顔で言うと、皆首が痛めないかというぐらいの速さで首を縦に振った。

 ティナ達に見送られて、僕達は向かう。

「あれで良かったのか?」

 アングルボザは聞いてきたけど、どういう意味のか分からなかった。

「どういう意味?」

「アルティナ達の事だ。別にわたしじゃなくてもあいつらの内の一人でも連れて来た方が見栄えが良いと思うのだが?」

 ああ、そういう意味ね。

 アルティナ達の方が可愛いから連れて行った方が良いと言いたい様だ。

 でもな。ティナはあれで物を考えるのは好きじゃないし。アマルティアは地頭も良いのだけど商売ごとに関しては弱い。ランシュエは商売方面には強いが、護衛の面で言えば未知数。

 カーミラは交渉力も実力はあるのだが商売の事は門外漢。

 椎名さんは護衛、交渉力、商売の全部に話は付いて行けるだろうけど、あの性格だからな。

 もし、相手が僕を格下に見たら。

『ふふふ、そんなに死にたいの?』

 という台詞を笑顔で首を絞めながら言いそうなんだよな。

 その点、意外にも意外にも商売ごとに明るく交渉力もあるアングルボザ。護衛も問題ないので連れて来た。アルトリアは最初から護衛なので問題ない。

「今回は見栄えよりもどういう者達を連れているのか見せる為だから、見栄えするよりも強そうな人達を連れていった方が良いと思うんだ」

「成程」

 僕の言葉に納得したのか、アングルボザは何も訊かなかった。

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