第2話 そんな事で揉めないでほしい
副都に入った僕達は『鳳凰商会』を訊ねるのは明日にして、今日泊まる宿を探した。
僕達はダイゴク達の部隊を合わせてもかなりの人数だ。
これだけの人数だから少しばらけた方が良いだろう。
そう思い、大きな宿を片っ端に当たった。
お蔭で数カ所に分けて止まる事が出来たが。問題も起きた。
「「「………………」」」
他の人は別に問題なかったが、一部の人達が泊まる所に注文をつけて来た。
その注文内容とは僕と同じ宿が良いとの事だ。
ちなみにその一部の人達はティナ、カーミラ、アマルティア、ランシュエ、リリム、椎名さんの六人だ。
しかし困ったな。まさか、こんな我が儘を言うとは思わなかったから、僕が泊まる所は皆とは違い小さい所にしたので、僕を除くと三人しか泊まれない。
それで睨み合っているティナ達。
下手に介入すると余計話がこじれるが、このままでは喧嘩になるかもしれない。
そうなると後の事が大変だ。
う~ん。どうするべきか。
「リウイ様。此処はお任せを」
悩んでいるとソフィーが笑顔を浮かべて言ってきた。
その顔を見て何か考えがあるなと思い、ソフィーに任せる事にした。
ソフィーは睨み合っている六人の所に行く。
「皆、このまま睨み合っていても無駄に時間が掛かるだけよ」
「・・・・・・でも、お母さん」
「此処は公平にクジで決ましょう」
「「「クジ?」」」
「そうよ。此処に赤色が付いた紐が三本あるわ。これを引いたらリウイ様と一緒の宿に泊まる事にしましょう」
六人はお互いの顔を見合わせて頷いた。
このまま睨み合っていても埒が明かないと察したようだ。
「公平を期すため貴方達だけではなくわたしと後数人含むけど問題はないわね?」
ソフィーが訊ねると六人は頷いた。
そして、ソフィーはアルトリア、ルーティ、クレハ、アオイ、スズカ、ビクイン、アンビア、アングルボザ等を呼んできた。
「じゃあ、まずは誰から引く?」
「勿論。あたし」
いの一番に手を挙げたのはティナだった。
ティナはソフィーの手の中にある紐を慎重に選んでいるけど、他の人は早く引いてほしいみたいな顔をしていた。
「これっ」
そう叫んで引いた紐は何の色も付いていなかった。
「はい。外れね」
「ぷぷ、あんなに真剣に選んだのに」
「むうううっ」
ティナは地団駄を踏んだ。
その後、順調に紐は引かれていき結果。
「ふふふ。今日は運がいいわ」
六人の中で見事赤い紐を引いたのはアマルティアは満面の笑顔を浮かべていた。
残りはアルトリア、アングルボザであった。
「はい。公平なクジの結果こうなったけど文句ある人は?」
ソフィーがそう尋ねると、ティナ達は不承不承ながら受け入れた。
「ごめんなさい。これも公平な結果だから」
「あの勝ち誇った顔。くうううっ」
「ふん。これで勝ったと思わない事ねっ」
「そうね。まだ機会はあるわ」
「やはりここは夜這いを決行すべきかな?」
「出来ると思わない事ね。蛇モドキ」
君たち、実は仲が良いでしょう?
と思えるぐらいのやり取りをしていた。




