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閑話 とある者の日記

前話でイザドラに報告した者が誰か分かります。今回はその者の始点です。

 

 〇月〇日。


 父の命令で魔国の末の王子のリウイ様に仕える事となった。

 わたしの身の回りを世話する者と男女合わせて数十人の者達も一緒にリウイ様が治める都市に向かう。

 着いて早々、リウイ様はわたし達を見るなり。

「人馬族の女性はポニーテールじゃない髪型をするんだ」

 と言い出した。

 正直に言って何を言っているんだろうと思った。

 髪型なんて人それぞれだろうに。


 〇月△日。


 リウイ様に仕えて数日。

 最初住んでいた建物は天井が低かったので、高くしてくれと頼んだら数日後工事をして高くなった。

 お蔭で日々の暮らしに不満も無くなった。

 食生活も部族の村に居た時よりも格段に良い。

 何より良いのが、あのマヨンネーズという調味料。

 リウイ様は「う~ん。ちょっと酸味が足りないな。酢をもっと入れた方が良いかな?」と味に不満そうであったが、わたしはこの味が好きだ。

 どんな野菜につけても美味しく食べられる上に種族的に食べられないが肉や魚にも合う万能調味料と言えた。


 〇月×日。


 リウイ様が魔国の都に行くと言うので、わたしと他の部族も含めた者達を連れて魔都に向かう。

 リウイ様が外に出て魔獣に乗りたいみたいな事を言ったので、わたしの背に乗ってみたらどうだと言うと、リウイ様もわたしの背に乗るのに興味があったのか乗った途中、乗らなくても良い者も乗ったが気にしない事にした。

 後少しで魔都に着くという所で、魔獣の中で最恐にして最強に位置する龍が現れた。

 リウイ様の麾下の軍団で迎撃をしたが、馬鹿にならない損害が出た。このままではまずいと思われたが、其処にリウイ様の姉君であられるロゼティータ様が現れてその龍を叱りだした。

 後で分かったが、その龍はリウイ様の姉君のイザドラ様であった。



 〇月▽日。


 魔都に着いて数日経ったある日。

 イザドラ様がわたしを名指しで呼び出した。

 何事だと思い、イザドラ様の下に行くとイザドラ様は一言も喋らないでわたしをジッと見た。

 その顔は例えるのならまるで恋人を取られた女のような顔であった。

 瞬きもしないでわたしをジッと見ていたイザドラ様はポツリと言う。

「リウイの事をどう思っていますか?」

 と言ってきたので、わたしは包み隠さず本音を話した。

 樹海の奥地に行き樹海に住む部族を従属するという凄い事を成した方だと。

 そう言うと、イザドラ様はだらしない顔をしだした。

 リウイ様が褒められて嬉しいのだと察した。

 それからは、イザドラ様はリウイ様が子供の頃からどれだけ可愛かったのか聞かされた。

 適度に相槌を打ちながらリウイ様はどんな方なのか知る事が出来たので喜ばしいと言えた。



 〇月□日。


 そろそろ、領地に帰らなければならないとリウイ様が言ったので、わたし達は帰り支度を始めた。

 支度をしていると、イザドラ様を含めたリウイ様の姉君達がリウイ様に会いに来た。

 帰るリウイ様に話をしきに来たようで、通した部屋の中から話し声が聞こえて来た。

 途中、イザドラ様は部屋を出て来た。

 そして、わたしを見つけるなり手招きしてきた。

 わたしがイザドラ様の下に来ると。

「リウイの事で何かありましたら、わたしに一報入れる様にしなさい」

 それは、主に不都合な情報を教えろと言う意味なのだろうかと訊ねるとイザドラ様は微笑んだ。

「そうではないわ。リウイが無茶な事をしそうで、貴女達が止めても止めない場合に連絡しなさい。そんな事があれば、わたしがリウイを止めますから」

 確かに、リウイ様は危なかっしい上に頑固な所がある。

 その場合、わたしが言っても止まらない可能性がある。その時はイザドラ様が行った方が良いと思い、わたしは連絡手段をどうすればいいのか訊ねて、偶に連絡を入れる事にした。


 〇月◆日。


 リウイ様の護衛になってそれなりの時間が経った。

 わたしがリウイ様を護衛する際、自分の背に乗せるのだが、その度に殺気交じりの視線を感じた。

 誰だと思い周囲を見ると、アリアン殿がわたしを親の仇の様に睨んでいる。

 麒麟という珍しい魔獣でリウイ様と契約したそうだ。

 個人的には仲良くしたいのだが、何故か嫌われている? 何故だろうか?



 〇月●日。


 最近、リウイ様はわたしの背に乗りながら『鳳凰商会』という店に行く。

 その店の会長と言う役職についているディアーネという女性に会いに行く為だ。

 女性のわたしから見ても見惚れる様なプロポーションを持っている。

 それに、リウイ様も信頼しているようだ。

 一応、イザドラ様には報告したが、直ぐに返事が来た。

 その人物について詳しく書かれた似顔絵か情報を提供しろと書かれていたので、絵が得意なわたしは何度も会っているお蔭か、遜色ない似顔絵を描いて送った。


 ×月〇日。


 リウイ様が領地を返上して大陸の方に向かうと言い出した。

 わたしも付いて行った方が良いと思い、父上と相談した。

 相談の結果、部族の者達を連れて付いて行く事にした。

 そうと決めると、イザドラ様にも一報入れる。

 返事が直ぐに来た。

「リウイの事について心配なので近況報告をしてくれないでしょうか?」

 と書かれていたので、わたしは快く了承した。



 □月×日。


 少し前にイザドラ様にリウイ様の近況を報告をだしたが、大丈夫だろうか?

 まさか、古龍の娘が押しかけ女房同然にリウイ様の下に来たので、これは報告せねばと思い送った。

 何時もなら返事は直ぐに来るのだが、今回はなかなか来ない。仕事が忙しいのだろうか?




「ふむ。ここまでにするか」

 わたしは日記を閉じた。

 今迄あった事を軽く書いたが、こうして見ると色々とあったのだなと思えた。

「アルトリア~、アルトリア~」

 この声はリウイ様の様だ。何か用だろうか?

 わたしは声が聞こえた方へと歩き出した。

 閑話はこれで終わりです。

 次回から新しい章の話に移ります。投稿予定は金曜日になります。

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