表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
471/756

閑話 近況報告 母宛て

 今回はハバキ視点です。

「ふぅ、……暇だ」

 愚息ことリウイが魔国を出て行ってからそれなりの日数が経った。

 当初は魔国を出る計画を立ててもイザドラ当たりに見抜かれて出る事が出来ないと思っていたが、魔獣の手を借りるという誰も予想できない手段を用いて国を出た。

 リウイが出て行ってからは暫くの間イザドラがうるさかった事以外は特に問題はなかった。 

 魔王の継承も恙なく終わった予定通りソアヴィゴが王位を継いだ。

 予想通りだったので、家臣達も特に不満を持っている者は居ないようだ。

 その代わりに暇だった。

 愚息が居た頃はなんやかんやで面白い事が頻発していたので飽きる事はなかった。

 最近では魔獣も人里に降りて来て暴れるという報告もないし、領地を持っている魔族が領内で圧政を敷いているという話も無い。

 なので、する事が無く暇であった。

 こうなったら暇そうな者でも見つけて訓練をでもするかと思っていると。

 コンコンっとドアがノックされた。

「どうぞ」

 入室を認めると、部屋に入って来たのはメイドだった。

「失礼します。ハバキ様宛てにお手紙が届いております」

「手紙?」

 ふむ。時期的にクレハかダイゴク辺りがリウイと無事に合流した事についての報告に送って来たのだろう。

「ご苦労」

 わたしはメイドを労い手紙を受け取った。

 メイドが一礼して部屋から出て行き、誰も周りにいない事を確認してから手紙を開けた。

 手紙を広げてざっと見ると、差出人はダイゴクであった。

 ふむ。無事にリウイと合流出来たか。

 そして、路銀を稼ぐために商売をして大金を稼いで、喧嘩を売って来た商会を叩き潰してその商会の財産を根こそぎ奪い取ったか。

 ふむ。愚息は商才に優れているようだ。

 更に公国に行き古龍の娘を嫁にした? これはどういう事だ。

 これについてはその娘が嫁と言っているだけで分からないので、恐らく押しかけ女房だと思われるか。

 ふ~む。手紙だけでは全く分からんな。

 今度、送られてくる手紙に詳細が書かれている事を期待しよう。

 最後の所を見ると、思わず頬を緩ませた。

『鳳凰は燕雀を産まず。流石は姐さんの息子です』

 と書かれていた。

 これは故郷の国の諺で意味は非凡な親からは平凡な子は生まれないという意味だ。

 ふふふ。愚息はそうとうダイゴクに気に入られたようだ。

 くそ。親父殿の目がなければわたしもどんな活躍をしているか見れるものを。

 というかその押しかけ女房ってどんな女だ? 気になるな。

 むぅぅ、こういう時は夫をしばき倒すに限るな。

 そうと決めたらわたしは愛用の得物を持って部屋を出た。

 魔宮殿にある一室。

「ふう、大変だった魔王の仕事を大過なく息子に譲位出来て満足じゃ。後は隠居生活でも楽しむか」

 とオルクスが茶を飲みながら呟いていると。

 バンっという大きな音を立ててドアが開いた。

 開けたのはハバキであった。

「バッキ―。どうしたんじゃ?」

 ハバキは愛用の得物を肩に乗せながら部屋に入って来た。

 その装いだと何処かに戦争をしにいくのかと思われた。

「暇だ。相手をしろっ」

 オルクスの返事を聞く前に襟を掴んでそのまま引き摺って行った。

「ちょちょちょっっっとまたんかっ。何で、わしがバッキ―のあいてをせなばならんのじゃああ?」

「わたしが暇だからだ」

「いや、だから儂以外の者で相手をっ」

「此処に来るまで声を掛けたが皆逃げた。だから相手をしろ」

「いや、わしは」

「つべこべ言うな」

 そう言って、ハバキは訓練場まで引っ張っていた。

 数時間後。

 スッキリした顔のハバキが訓練場から出て行った。

 訓練場には全身をボロボロにしたオルクスが倒れていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ