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第89話 あれはっ⁈

 龍の咆哮を聞いた僕達は駈け出した。

 戦闘音は聞こえてこないので、どうやら興味本位で見に来ただけで龍を狩る為に来た訳ではないと分かったのは僥倖と思おう。

 咆哮が聞こえた方に向かっていると、前方から複数の人が来るのが見えた。

 恐らくレグルス達だろう。

 無事で良かったと思ったのは一瞬だった。

 四人の背後には大きな口を開いた龍の頭が四人を追い駆けていた。

「これはまずいなっ」

「リウイ様。此処は相手を怯ませてから撤退すべきです」

「そうだね。じゃあ、任せた」

「御意」

 リリムは走りながら詠唱をしだした。

 すると、右手には炎の玉が左手には水色の玉が浮かんだ。

「『我は放つ。無色の波動砲』」

 その二つの玉を合わせて放たれた魔法は、レグルス達が当たらないギリギリの所で尚且つ龍には直撃するという角度で放たれた。

 放たれた魔法は龍に直撃して、直ぐに大爆発を起こした。

「……この魔法って爆発しない筈じゃあ?」

「恐らくですが、龍は全身に魔力障壁を張って防いだと思われます」

「そうなんだ。って、やばいっ」

 大爆発の影響で洞穴が激しく揺れ出した。

 天井から瓦礫が落ちてきた。

「これは想定外です」

「誰だって、こんな事を想定してないよ。とりあえず、早く出口へ」

 僕達は来た道を慌てて引き返した。

 その途中、レグルス達と合流出来た。

「ちょっとあんた。わたし達を助けにきたの? それとも殺しに来たの?」

「そんなの決まっているでしょう。リウイ様を助けになる為に来たのよ」

「それなのに、そんな高威力の魔法を放つとかあんた馬鹿でしょう‼」

「なっ。ろくな装備もないままで龍が居る洞穴に行くような人に馬鹿と言われる覚えはありませんっ」

「じゃあ、わたしが特別に馬鹿って認定してあげるわ。ば~か、ば~かっ」

「こんのっ、この状況とリウイ様がこの場にいなければ排除するものをっ」

「やれるものならやってみなさいよ。ば~か‼」

 こんな状況でよく口喧嘩出来るな‼

 二人の剛胆さには何も言えないよ。

 そんな二人の口喧嘩をきいている内に、ようやく出口が見えて来た。

「出口だっ」

「急いで出るわよっ」

 僕達はラストスパートとばかりに駈け出した。 

 スピードを上げた事で、後少しで出口だというところで、天上から瓦礫が落ちて来た。

 その落下する所にボノビビが居た。

「危ないっ」

 僕は思わずボノビビを前に突き飛ばした。

「えっ?」

 突き飛ばされたボノビビはいきなりの事で状況が分からなかったが、直ぐに自分の背後に瓦礫が落ちて来た事が分かった。

 ボノビビを突き飛ばした僕は瓦礫には当たってしまった。

 まぁ、当たったと言っても落ちた瓦礫に正面衝突しただけだ。

「いったぁ、でも、後少し前に出ていたらこの瓦礫に押しつぶされていたんだ……」

 痛み額を抑えつつ、僕は瓦礫を見る。

 縦も横もかなりある瓦礫だ。こんなに押しつぶされたと思うと、ゾッとした。

「リウイ。大丈夫⁉」

 瓦礫の向こうからティナの声が聞こえて来た。

「ああ、だいじょう」

 返事をしようとしたら、僕の前に瓦礫が落ちて来た。

 これは不味いと思い、僕は全速力で反対側に向かって駆けだした。

 龍が居る事は分かっておるのだが、今は生命の危機が最優先だ。

 龍に対しては交渉するしかないと思いながら、僕は駈け出した。

 

 どれくらい駈け出したのか分からなないが、とりあえず言えるのはかなりの距離を駆けたのは分かった。

「はぁ、はぁ、はぁ、・・・・・・う、うまれて、はじめてこんなにはしったかも、しれない……」

 追いかけっこや鬼ごっこをしても直ぐに捕まったからな。

 捕まえる役がフェル姉やヘル姉さんだったからもあるだろうけどね。

 息を整えつつ、僕は周りを見た。

 今迄歩いていた道は暗かったが、ここだけ何故か明るかった。

 どういう事だと思い壁を見て見ると、壁に何かの意思が埋め込まれていた。

「ふむ。どうやらこの石が明かりを生み出しているようだ。丸いけど魔力を感じるから魔石のようだな」

 これで周りが明るい事を察した僕は奥に部屋がある事が分かり、奥へと進んだ。

「これはっ」

 奥へと進むと、大きな部屋に出た。

 其処は大きな水晶があった。かなり大きい水晶で、売れば億万長者間違いなしと言えた。

 でも、驚いたのは其処ではない。

 その水晶の中には何かが浮かんでいた。

 僕はそれをジッと見て驚いた。

 水晶の中で浮かんでいたのは。

「僕の身体……⁉」

 前世の僕の肉体であった。

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