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第87話 これはまずいな 

 前の馬車が停まっているので、何かあったのかと思い向かってみると。

「姉を含めた数人の者達が山に棲んでいるという古龍を見に行くと言って山にむかってしまい途方にくれていたのです」

 デネボラが頭を下げながらどうして馬車が停まっているのか簡潔に教えてくれた。

「……ちなみに一緒に行った人達はどれくらいいるの?」

 頭が痛いと思いながら訊ねた。

「ボノビビ、アンクルボザ、アルティナ、バイアの四人です」

「見事に好戦的な人達ばっかりだね」

 ティナが付いて行ったのは多分、あれだろうな。興味本位で付いて行ったんだろうな。

「さて、どうしたものかな?」

 どう考えてもアーヌル達を向かわせるのはかえって面倒な事になりそうだし、かと言って帰りを待つというのは無理だろうな。あのメンバーだったら龍と戦う事はできるだろう。だが、この山に棲んでいるのは古龍だ。龍の数十倍強い存在だ。

 う~ん。どうしたものかな。

『悩むぐらいであれば行けば良かろう』

 考え込んでいると腰に差している魔剣『アンゼリカ』ことアンが喋った。

「珍しいね。いつもは寝ているのに」

 話しかけても反応が無いので寝ていると勝手に思っていた。

『我が主殿は我が話すよりも誰かと話すのが好きなのようだからな気遣って話をしないでいただけだ』

「そんな気なんか使わなくて良いのに」

『ふん。お主が部屋に引きこもっていた時に何度か話しかけても反応がなかったのだ。我の事は好きではないのだろう? うん?』

「別にそういう訳じゃあ」

 そこまで話して分かった。

 どうやら、この魔剣は僕があまり相手をしないので拗ねているのだと。

「ごめんごめん。今度からマメに話しかけるから」

『ふん。どうだか』

 これは根が深いな。どうしたら機嫌が直るかな。

 剣だから油か? それとも打粉か?

 いや、この剣の人格は女性だから何か女性が喜びそうな物を送るべきか?

 う~む。悩むな。

「リウイ様。このような文句を言うだけで何の役にも立たない駄剣になど気を使う事はありません。むしろ、売り払って金にした方が遥かに良いと思います」

『何じゃとっ。貴様。我を侮辱するとはいい度胸じゃ‼』

「たかだか数百年前に作られた剣如きが大きな口を叩く事。今直ぐその刃を折って炎の中にくべてドロドロにさせるわよ」

『ほざけっ。貴様こそ、我が刃の錆にしてくれるっ』

 何か二人(一人と物?)して睨みあう。

 どうして、僕の部下になる人はこうして一癖があるのだろうか?

「あの、リウイ様。どうしますか?」

「とりあえず、僕とリリムで山に向かうよ。それでレグルス達を見つけたら戻る様に言うから。直ぐに出発できる様にしておいて」

「分かりました。どうか、お気をつけて」

 デネボラに手を振って僕達は山へと向かった。

「リウイ様の佩剣にだけでも幸福だというのに、リウイ様が話しかけないだけで拗ねる魔剣なんて役に立つのかしら?」

『ふん。貴様こそ。其処まで慕っているのに手を出された気配がないではないか。余程、女の魅力が無いと見える』

 はぁ、頭が痛い。

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