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第85話 出立

 出立の準備などであっという間に時間は過ぎて行き、二週間が経った。

「ふぅ、これでようやく公都(ここ)から出る事が出来るのか」

 大量に荷を積んだ馬車を前に僕は呟く。

 これだけの荷を積むのは人数が多いのもあるが、公都だけでしか売っていない特産品を大量に買ったのもある。

 その買った品は主に化粧用品だ。

 僕達の人数構成は九割女性だから化粧用品に食いつくのは仕方がない。

 どんなに歳を取っても女性は化粧する生き物だという事が痛感できる。

「リウイ様」

 しみじみと思っていると、後ろから声を掛けられたので振り返るとソフィーが居た。

「出立の準備はで完了しまた。出立は何時でも出来ます」

「そうか。じゃあ、そろそろディアーネ会長の所に挨拶に行かないと」

「それと、そのディアーネ会長が参りました」

「見送りに来るとは言っていたけど、本当に来たのか。じゃあ、此処に連れて来てくれる」

「畏まりました」

 ソフィーは一礼して離れて行った。


 少しすると、ソフィーがユエを連れて来た。

「やぁ、リウイ殿。御機嫌よう」

「御機嫌よう……って、ディアーネ会長。どうしたの?」

「どうしたのとは?」

「いや、その手に持っている物」

 ユエの手にはフランベルジュの様に波打つ刃を持った武器を持っている。

 僕が指差したので、ユエは僕が驚いている理由が分かったのか手に持っている物を見る。

「ああ、これか。なに、リウイ殿を見送りに来たのだが。その途中邪魔な堕天使モドキが邪魔したのでな。ちょっと旧交を温めがてら組手をしただけだ」

 ユエが言う堕天使モドキというのはリリムの事だろう。

 僕はそう思っているの察したのか、ソフィーが近づいて耳元で囁く。

「わたしが御呼びに行った時はお二人は得物を出して今にもぶつかる所でした」

「ああ、やっぱり。ご苦労さん」

「いえ」

 ソフィーを労うと大した事はしていないと首を横に振る。

「うん。とりあえず、その物騒な物は仕舞わない?」

「そうだな」

 そう言ってユエは手に叩くと、何処からか人がやって来てユエが持っている物を受け取って姿を消した。

「今のは?」

「ただの槍持ちだ。気にするな」

 槍持ちって何時の事時代の人だよ。

 まぁいいか。

「見送りに来てありがとう。ディアーネ会長」

「ふっ。暫く会えなくなるのだ。これぐらいはしないとな」

「まぁ気軽に会える距離ではないね」

「であろう。まぁ、副都にはわたしの店がある。もし困った事が店長のゴドヴィンに手を貸してもらえ。あいつなら大抵の事は解決できるはずだ」

「分かった」

 支店長という事は幹部クラスと考えれば良いんだよな。

 名前からして男の人のようだ。それで幹部という事は強面の商人か。何を考えているか分からないかのどっちだろうか。

 どんな人なのか思っていると、ユエが頭をポンポンと叩いた。

「元気でな」

「凄い子供扱いされている気分なんだけど?」

 精神年齢は同い年だよ?

「はっはは、今のリウイ殿のよりもわたしは遥かに年上だからな」

 笑いながら言うユエ。

 偶々通りかかったティナがそれを聞いて。

「……大年増?(ぽつり)」

 ティナが小声で何かつぶやいた。

「……………」

 それが聞こえたのかユエがティナを方に顔を向けて、アイアンクローを見舞った。

「何か言ったか?」

「いだ、いだいだいだだだだだだだだっ⁈」

 口は災いの元だよ。ティナ。

 とは言え、このままではティナが可哀そうだから解放してあげよう。

「ディアーネ会長。そろそろ出立したいのですが」

「……そうか」

 ユエは手を離した。

「では。達者でな。リウイ殿」

「そちらも」

 僕達が話している間に、ティナはソフィーの後ろに隠れ首だけ出してユエを見る。

 ユエは笑みを浮かべつつ口を動かした。

 ええっと、つ、ぎ、も、い、つ、た、ら、こ、ん、な、も、の、で、は、す、ま、な、い、ぞ、か。

 ティナは何となくだが何を言っているのか分かったのか首が外れるのではないかと思えるぐらいに激しく縦に振る。

 僕はユエに手を振って、馬車へと向かう。

 程なくして馬車は動き出した。

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