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第80話 ようやく全員集合か

 マイちゃん達が来た日から数日後。

 

 今日も僕は宿にある部屋で過ごしていた。

 外に出ると精神にダメージが来るのでここが一番良い。

 偶にティナ達に外の催しを見ないかと誘われるけど、適当に理由を作って逃げている。

 流石に逃げ切れない時もあるが、その時は心を無にする事でダメージを最小限にする様に頑張った。

 そして月日は流れダイゴク達と別行動をしてかれこれ半月が経った。

「そろそろ、ダイゴク達が公都に来ても良い頃だな」

 本屋で買った本を読みながら呟くと。

「そうなのですか?」

 リリムが茶を淹れたカップを僕が居る所から手を伸ばせば届く距離の所に置いてくれた。

 音を立てない様に啜る。うん。適温だ。

 味も温度も問題なしだ。

「相変わらず美味しいね」

「お褒め頂き恐縮です」

 僕が褒めると頭を下げるリリム。

 何で、僕の部屋にリリムが居るのかと言うとティナ達が「何も仕事をしてないのにリウイの傍に居るのはおかしい」と言って来た。

 そう言われては流石に何かしらの仕事をさせないと駄目だと思い、とりあえず僕の護衛兼秘書みたいな事をやらせる事にした。

 前世の頃から何をやらせても問題ない才を持っていたので大丈夫だろうという事と、リッシュモンドやアクパラという僕が前世の記憶を持っている者が居ない時の相談も出来ると思いその仕事に就かせた。

 無論、反対の意見も出た。

 しかし、何で護衛をしているルーティ達ではなくティナ達なのが不思議であった。

 本人達曰く、何処の馬の骨とも分からない奴に護衛役をやらせる訳ないでしょうと言っていたが、何か本音を隠している気がしたのは気のせいだろうか?

 僕がどんなに宥めても聞いてくれなかったので、業を煮やしたリリムが。

『では、実力を見せれば良いのね』

 と言って文句を言ってきたティナ達と戦う事となった。

 結果。リリムの圧勝。

 リリムは僕が渡した武器を使う事もしないで勝ってみせた。

 伊達に十傑衆の一画に居た訳ではないなと思った。

 その実力を見せられて、ティナ達は渋々だが受け入れてくれた。

 でも、時々リリムに喧嘩を売っているようだが軽く蹴散らされいう。

「ところで、ダイゴクと言うのはどなたなのですか?」

「ああ、リリムは知らないか。クレハが元々所属している『義死鬼八束脛』のメンバーだよ」

「『義死鬼八束脛』ですか。知っております。大陸でも有名な傭兵集団ですね」

「そう。其処の現リーダーがダイゴクだよ」

「リウイ様とはどのような関係なのですか?」

「今世の母さんの舎弟だった人で。母さんが暫く面倒を見ろって一報を入れたみたいだから行動を共にしているんだ」

「成程。そうなのですか。ところで、リウイ様のお母様はどのような方なのですか?」

 どんな人なのか気になるのだろうリリムは興味津々みたいな顔をしていた。

「……一言で言えば破天荒かな?」

「破天荒ですか」

「正直に言ってそれぐらいしか言えないな」

 どう考えてもそれ以外の言葉が当てはまらない。

 コンコン。

 リリムと話をしていると、ドアがノックされた。

 僕が訊ねようとしたら、リリムが先に口を開いた。

「誰でかしら?」

『シャリュです。リウイ様。ダイゴクが来たので挨拶に来ました』

 シャリュがそう言うのを聞いて、リリムは僕を見る。僕が頷くとリリムは「通しなさい」と言ってくれた。

 ドアが開くとシャリュとダイゴクが居た。

「では、失礼します」

 シャリュはダイゴクを部屋の中に入れると一礼してその場から離れて行った。

「どうも。若。遅れて申し訳ありません」

「気にしなくていいよ。こちらとしても面倒な事をさせたから」

「お気遣いありがとうございます。ところで」

 話をしていたダイゴクは僕の傍に居る女性に目を向ける。

「そちらの方は?」

「少し前から僕の秘書をしてもらっているリリムだよ」

「初めまして。リリムです」

「ああ、こいつはどうもご丁寧に。あっしは『義死鬼八束脛』の総長のダイゴクと言います」

 初対面だからか頭を下げて挨拶を交わす二人。

 これで、ようやく公都から出る事が出来るな。

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