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閑話 伊達に幼馴染をしていない

 今回は舞華視点です

 長年の盟友にして幼馴染のユエが「最近に気に入った者を見つけた」と言っていたので、興味が湧きユエが会いに行くと言うのでわたしも付いて行った。

 それで、まさかあの憎らしいリリムに会うのは予想外だった。

 ノッ君が生きていた頃、偶に領地に遊びに行っていた。

 他の十傑衆の人達とは仲良く出来たけど、この女だけ駄目だった。

 見た目はちょっと背が高い巨乳のお姉さまみたいな感じだが、内面は凄まじく重い愛を持った女だった。最初に会った時に思ったこいつとは仲良く出来ないと。事実、ノッ君が居ない所ではよく喧嘩をしていた。

 その女が此処にいるとは流石に予想できなかった。

 何で此処にいるのか気になり、わたしは話をしながらジッと見ていた。

 それで分かったが、あのリリムがユエが気に入ったリウイ君という子にご執心だという事が分かった。

 それだけではない。ユエもリウイ君という子に執心であった。

 ユエのリウイ君を見る目が可愛がっているというよりも愛しい人を見る目であった。

 周囲には上手く隠しているがわたしには分かる。伊達に幼馴染をしていない。

「さて、話す事も尽きたしここらで失礼させてもらおうか」

 ユエが話した事を終えたからか帰ると言い出した。

「はい。今日はありがとうございました」

 リウイ君は頭を下げた。

「わたし達はこれで失礼する。副都に行く時はわたしの店に来てくれ。店を開く所の詳細などを記した地図などを渡すからな」

「分かりました」

「では、失礼する。行くぞ。マイ」

 ユエが席を立ったので、わたしも立つ。

「じゃあね。リウイ君。また時間が出来たら遊びに行くから」

「はい。その時はちゃんとしたおもてなしをしますね」

 う~ん。この綺麗な笑顔。この子年上殺しになりそうね。

 そう思いながら見ていると、リリムがわたしの視界を遮った。

「では、出口までお見送りにしますね」

 ニコリと笑顔を浮かべるリリム。

 早く出て行けと顔に書かれているのがまるわかりだ。

 ふん。どうにもこの女とは馬が合わないわ。

 そう思いつつ、わたし達はリリムと共に部屋を出た。

 部屋を出たわたし達はリリムを先頭にして歩き出した。

 歩きながら隣にいるユエに話しかける。

「ねぇ、ユエ」

「何だ?」

「あのリウイって子の何処が気に入ったの?」

「ふっ。そうだな。才気があり優しい性格。その上大抵の事は受け止める度量がある。頭も切れる。これで気に入らない方が可笑しいだろう」

「そうなんだ。でも、その評し方だとまるで」

「まるで? 何だ?」

「……ううん。何でもない」

「そうか」

 まるで、ノッ君みたいだと思ったが口に出すのは止めた。

 もう会う事が出来ないわたしのもう一人の幼馴染。

 そして、今でも大好きな人。

 会えない事が分かっていてもこの気持ちは捨てる事が出来なかった。

 内心女々しいかなと思う。でも、こればかりは仕方がない。

 それ以降、わたし達は言葉を交わさなかった。

 宿を出る時、入り口までお見送りに来たリリムが。

「今度来る時はてぶらでは無くお土産を持ってくる事ね。まぁ、貴女達みたいな不作法者にそこまで期待していませんので、今度来る時には高級の菓子と茶を用意しておきますね」

 とボソリと言った。

 わたし達にジロリと睨むと、リリムは素知らぬ顔で「あら、独り言が聞こえました? これは失礼を」

と言って頭を下げる。

 形だけ謝ってるのが目に見えて分かる。

 これ以上、何か言っても無駄だと分かり、わたし達は怒りを抑えてその場を後にした。

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