表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
447/756

第74話 これは何と言えば良いのだろうか

 ユエに慰められた翌日。


 気持は落ち着いたので、僕は皆に顔を出した。

 すると皆は喜んでくれた。

 だが、ティナだけは「出て来るのが遅いっ!」と言って僕の尻に蹴りを見舞った。

 痛みで尻をさすっていると、ソフィーがこっそりと。

「あれで心配していたんですよ」

 と言ってくれたのだが、そうなのかどうかちょっと分からない。

 僕が部屋から出て来ると、丁度一緒に付いてきたメンバーの人達が全員居たので、皆に公都ではなく副都に店を開く事を告げた。

 誰かしら反対するかと思ったが、誰も反対も何も言わなかった。

 後はダイゴク達にこの事を告げるだけだ。

「さて、今日はどうしようか?」

 ハッキリ言ってする事が無い。

 外に出てふらつくのも嫌だ。前みたいに精神にダメージが来るのが火を見るよりも明らかだ。

 だからと言って、宿の部屋に居たらまたティナ辺りが外に連れ出そうとするだろう。

 此処は何処かに出掛けるのが無難だが、何処に出掛けるべきか。

 う~ん。とりあえず、公都の全体を記した地図でも見るか。

 そう思いながら見ていると、静かで前世の僕にあまり係わりが少ない場所を探した。

 こうして見るとそれなりにある事が分かった。

 その中でまず最初に行く事にしたのは二代目公王と言われている前世の僕の息子イエヤスの墓にした。

 一度もあった事が無い息子の墓に行くというのも変な話だが、ここなら静かだろうし墓参りぐらいはしないとね。

 少し離れた所には、僕とセリーヌ王女の墓もあるそうだ。

 セリーヌ王女は生前「わたしが死んだら夫と同じ墓に入れてちょうだい」と言っていたそうだ。

 と言っても、僕の墓には遺骸など無い。セリーヌ王女の躯だけある状態だ。

 夫婦生活などしていないのでセリーヌ王女の事を奥さんと思った事は全くないが、僕の血を引いた子供を産んでくれたのは感謝している。こうして、後世にまで語り継がれる程の偉人として崇められているのは除いて。

 息子の墓という事で、僕はお供にリッシュモンドを連れてイエヤスの墓へと向かう。


 宿を出て少し歩くと公族が代々墓所にしている所に向かう。

 墓所と言っても、ただ墓があるだけという訳ではないが卒塔婆みたいな物が立っている訳でもない。

 どちらかと言うと陵墓みたいな感じだ。

「これはかなり大きいな」

「ですね」

「息子がこんな感じなら、前世の僕の墓もこんな感じかな?」

「申し訳ありません。わたしもどんな墓なのか知りません」

「そうか」

 僕は陵墓の向かって両手を合わせて目を瞑った。

 心の中で一度も遊んであげられなくて御免と謝る。

「……よし。じゃあ、次は僕の墓にでも行くか」

「良いのですか?」

「はは、別に墓ぐらいなら問題ないだろう。それに奥さんに息子を一人で育ててくれてありがとうぐらいは言わないとね」

「はっ。では、お供します」

 僕達は地図を見ながら前世の自分の墓を見に行く事にした。

 息子の墓から歩いて数十分後。

 ようやく、前世の僕とセリーヌ王女の墓を見つけた。

 イエヤスの墓に比べると、僕とセリーヌ王女の墓は卒塔婆みたいな物が二本立っているだけだ。

「此処が僕とセリーヌ王女の墓?」

「地図だとそうなっております」

「随分とこじんまりとしているな」

「ですな」

「とりあえず、御参りだけでもしておくか」

 僕が墓に行こうとすると、丁度墓守の人が墓の掃除をしていた。僕達の位置からでは後ろ姿しか見えない。其処から分かるのは髪の色が少し赤みがかった射干玉というぐらいでしか分からない。

 流石に墓守ぐらいはいるかと思い、どんな人がしているのだろうと思い顔を見ると。

「っ⁉」

 驚きのあまり言葉を失った。

 何故なら、そこに居るのは十傑衆の一人にして唯一の女性で『踊る牙』ことリリムであったからだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ