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閑話 前世を知る者

 今回はカーミラ視点の話です。

 公都に来てから数日。

 まだ、ダイゴク達とも合流出来てない上にリウイが懇意にしているディアーネという会長もまだ店に戻ってきてないので、ワタクシ達は公都に居る。

 公都で商売するにしてもディアーネが提案していた副都で商売をするにしても、まずはディアーネ会長に会わないと話が進まない。

 なので、ディアーネ会長が帰って来るまで観光する予定であったのだが。

「リウイ~。今日は劇場に行こうよ。今から行けば『初代公王とエルフ姫将軍』の劇が見れるわよ」

 アルティナがリウイの部屋をノックしながら、リウイが出て来る様に言うのだが。

『……ごめん。今日は調子が悪いからまた今度ね』

「むぅ、そう言って昨日も断ったじゃない。何処か身体の調子でも悪いの?」

『そういう訳じゃあ』

「じゃあなに、あたしと一緒に劇を見たくないって言いたいの?」

『何でそんな解釈をするかな?』

「じゃあ、出てきなさいよ。あんた、ここ数日部屋から一歩も出てないでしょうっ」

『いや、ちょっと調子が』

「お医者さん呼んでこようか?」

『そこまでしなくても良いから』

「じゃあ、何処が悪いのよっ」

『いや、だから調子が』

「もう良いっ。そんなにあたしと出掛けたくないのなら、部屋でずっっっっといなさいっ‼」

 ドアの前で大声をあげたアルティアは怒り心頭という感じで離れて行った。

 アルティナが離れて行くのを見届けると、ワタクシは物陰から出て来て溜め息を吐いた。

 ここ数日というものの、リウイは部屋から出てこようとしない。

 一部を除いた皆はあの手この手で部屋から出そうと頑張っているが全く成果が出ていない。

「まぁ、こればかりは仕方がない事ね」

 偶々、リウイの血を吸う機会があったのでワタクシはリウイが部屋にいる理由を知っている。

 その時の血の記憶を見て感じでは、関係ない事までリウイの前世のイノータの功績になっている感じだ。更にそれが余計に尾ひれがついている感じだ。

 自分がしてない事で自分の功績になるというのは存外、きつい物だ。

 このまま公都にいる事はリウイには毒を飲むのと同じ事だ。早く離れたくてもダイゴク達と合流しないと駄目だ上に、ディアーネ会長とも話が出来てないので動く事も出来ない。

 もはや、一刻でも早くダイゴク達が来るのを祈るしかない。

 そう思って部屋から離れて、自分の部屋で茶でも飲もうとしたら。

『うう~、おかあさんっ。りういが、りういがっ』

『はいはい。リウイ様は調子が悪いと言っていたのだから暫く静かにさせておきなさい』

『ぐす。でもっ。いままで、あたしがどんなむりなことをいっても、りういはもんくをいわないでついていたのに~~~』

『調子が悪いだけなのだから気にしないの。この大陸に来て殆ど休みなく働いていたのだから、少しぐらい休んでも良いと思わない?』

『う~、でも、りういにあわないとなんかおちつかないの~』

『だったら、ドアの開けるなりして会いに行けばいいでしょう。いつもの貴女ならそれぐらいするでしょう?』

『そんなことしてきらわれたら、いやだよ~』

『そう思うのだったら普段の行動を改めなさい』

『だって、りういのかおをみていたら、くちがおもっていることとまぎゃくのことをいっちゃうんだもんっ』

『はぁ。同じような教育をしたはずなのに、どうしてこんなに天邪鬼な性格になったのかしら?』

 部屋の外まで聞こえる声で話すソフィーディアとアルティナ。

 あれでアルティナも可愛い所があるのねと思いつつ、ワタクシは部屋に戻った。

 部屋に入ると茶でも飲もうと受付に繋がっている伝声管の蓋を開けようとしたら。

 コンコンっとドアがノックされた。

「どなた?」

『リッシュモンドだ。話がしたい』

 珍しい事にリッシュモンドががしたいと言って来た。 

 リウイ以外はあまり話さないので、どんな性格かは知らないが、リウイの信頼厚い者だ。

 聞いた所、生命無き王という死人の中でも最高位の存在だ。

 そんな者を部下にしている時点で、凄いとしか言えない。

 本人は「へぇ、そうなんだ」という感じだ。

 あの感覚は前世で培ったものなのだろうか?と思うワタクシ。

 そう思いながら、ワタクシはドアを開ける。

「リッシュモンド殿ともあろう者がワタクシに何か用かしら?」

「部屋に入って話したいのだが良いだろうか?」

「ええ、構わないわよ」

 ワタクシはリッシュモンドを部屋に入れた。

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