第71話 名誉棄損で訴えれるかな?
さて、息子が遺した言葉を見た後は本命の僕が遺した言葉だ。
どんな言葉が残っているか楽しみ半分恐ろしい半分だ。
「ええっと、イノータで探せば良いのかな」
イノータイノータっと前世の自分の名前を探すなんて何か変わっていて面白いな。
そう思いながら探していると直ぐに見つかった。
「ええっと。『初代公王』『魔王殺し』『黄金を生みだす者』『勇翼の邪毒龍を飼う者』『大賢者』『十傑衆の主』『魔導兵器の父』『魔獣使いの王』『ドワーフの友人』『神君』『グルメ王』か・・・・・・」
色々な称号を持っているな。死後こんなに称号をもらうとは思わなかった。はっはは。
まぁ、そんな事は置いといて。僕が遺した言葉はっと。
「『例え邪龍の子供であろうとも子供に罪は無い』『責任は僕がとるから好きに行動せよ』『問題ない』『酒はちょっと』か」
はい。全部言った覚えがあります。
最初と二番目の言葉は領内で暴れていたアジダハーカという種の三つ首の龍が暴れていた時に討伐する時に言った覚えがある。
ちなみに飼っていたアジダハーカはこの討伐した龍の子供だ。生まれたばかりだったので、僕が育てる事にしたのだ。
三番目も良く言っていたな。最後に疑問詞を着けていたけど。
四番目はドワーフの所に行って酒を薦められたけど、まだ酒が飲める年齢では無かったので断った。
むぅ、もっとカッコいい言葉を残してほしかった。
「と言ってもまだあるか。『おお、姫。わたしは人間。貴女はエルフ。いずれ悲しい別れが訪れるのであれば、僕達は一緒になるべきではない』『なら、今日から君は僕の馬だ』『生命の水により結ばれた誓いは永遠なり!』『この黄金を使って、この都市を黄金の都にする!』だって⁉」
こんな言葉一言も言ってねぇぇぇ‼
誰だ。こんな言葉を刻んだ奴は⁉ 名誉棄損で訴えれるぞ!
「うわぁ。凄い事を言っているわね」
「まるで演劇の台詞みたいね」
「さっきの劇場では、初代公王の役の人はこの台詞を言うの?」
「役者なんだからそうでしょう」
「でも、この初代公王はこの台詞を実際に言ったのかしら?」
言う訳ないだろう。こんな恥ずかしい台詞。
何だよ。この『なら、今日から君は僕の馬だ』って、何かのプレイか?
もし、言ったのだとしてもこんな言葉を残さないで欲しい。子供に悪影響が出るじゃないか。
更に言えばこの『おお、姫。わたしは人間。貴女はエルフ。いずれ悲しい別れが訪れるのであれば、僕達は一緒になるべきではない』とかエルフの誰に言ったんだよ! 全然、覚えが無いぞ‼
内心憤慨していると、小さい子供達が何かを口ずさみながら壁を見ている。
「「「のせろよ~、のせろよ~。そのせにのせろよ~。はやく~はやく~。そのせにのせろよ~」」」
何だ。その歌は?
「ねぇ、聞いても良い?」
「なに?」
「今の歌なの?」
「そうだよ。えんげきでこのうたをうたっているからおぼえた」
「その歌を歌う劇のタイトルは?」
「「「『貴方の為ならどこへでも向かう馬になりましょう』」」」
「ぐはっ⁉」
あまりの衝撃で僕は目の前が暗くなった。
まさか子供にまでこんな変な歌が流行っているとは。しかも、僕の前世を元にした劇で。
「り、リウイっ。大丈夫?」
「だ、だいじょうぶ……」
と言っても正直に言って今にも倒れそうな位だ。
もう宿に戻るか。このままでは僕が倒れる。




