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第59話 これは驚いた

 手紙が届いてから三日後。


 その日は僕は休みの日で宿で買った本を読んでいた。

 前世だと紙の本は最低でも銀貨数枚はしたが、今は銅貨で数枚で買えるとはな。

 時代が変わったのだなとつくづく思った。

 そう思いながら買って来た本を見る。

 題名は『十六都市同盟の成り立ち』

 僕が居るこの都市『ヨドン』が所属する同盟だ。

 ここら辺はどうやら国ではなく都市の連合で支配している地域のようだ。

 ページを開いていくと、設立は今から二百年前と書かれていた。

 北方の『ゾオン共和国』の支配に抵抗する為に作られた同盟だそうだ。

 同盟の設立当初は七十以上の都市が加盟していたそうだが、今は十六の都市しか残ってようだ。

 これは仕方がないか。都市同盟って都市国家同士が結ばれた政治体だからな。

 互いの主権をぶつけ合えば都市同士で戦争は起こるだろうし、その隙をついて他国が攻め込んできて滅ぼしたりするだろうな。

 正直、今でも十六の都市が残っているのは驚きだ。

 抵抗が激しくて征服出来ないとか?

 まぁ、僕には関係ないか。

 そう思いながら、喉が渇いたので茶を飲もうとテーブルに手を伸ばして茶を飲もうとしたら。

「リウイ。お客さんが来たわよっ」

「ぶふっ⁈」

 ノックも無しにドアが開いて声を掛けられたので思わず噴いてしまった。

「げほ、げほっ・・・・・・ちょ、ちょっと、ティナ。ノックも無しに部屋に入らないでよっ」

「良いじゃない。幼馴染なんだから気にしないの」

 ぬううっ。どうして、前世と今世の僕の幼馴染はマナーを気にしないのかな。

 これじゃあ嫁に行くのが難しいじゃないか。

 はぁ、怒っても仕方がないか。

「それで、お客さんって誰?」

「前にうちの国に来た商会の会長とお供に二人の女の人よ」

 商会の会長という事はユエか。お供は多分、護衛か何かだろう。

 ふむ。とりあえず、ユエと今後の事を話したいので行くか。

「それで、ディアーネ会長は何処にいるんだい?」

 ティナにそう尋ねると、ティナは指で下を指した。それを示す意味は。

「下に来ているのかい?」

「ええ、談話室で待っているわよ」

「そうか。それは大変だ」

 僕は読んでいた本にしおりを差し込んでテーブルに置いてティナと共に部屋を出た。


 部屋を出て、直ぐに談話室に向かう。

 ユエって結構気が短いからな。早く行かないと面倒な事になりそうだ。

 そう思いながら歩いていると、談話室から話し声が聞こえて来た。

 どうやら談笑しているようだ。

「お待たせしまし……たっ⁈」

「やぁ、リウイ殿。息災だったかな?」

 と声を掛けて来るのは、ドッキリ大成功みたいな顔をしているユエ。

 その両隣には見知った顔が二人も居た。

「ディアーネ様。こちらの方が魔国で知り合った方なのですか?」

 まるで鈴がなるような綺麗な声でユエに話しかけているのは女性でエルフだ。

 スレンダーな体型で胸はやや寂しいが、端正で優美な顔立ちであった。

 腰には剣を差しており、鎧とドレスが一体となった衣装を着こんでいる。青色のロングヘア―の隙間から見える額にはサークレットを着けている。

 前世でエルフはたくさん見て来たけど、ここまで綺麗なエルフはなかなかお目に掛かった事は無いな。

 というよりも驚いた。

 だって、このエルフは前世の僕の知り合いだから。

 名前をローチュウス。亜人族エルフ族将軍のエルカスの孫娘の一人だ。

 エルカス将軍はしきりに僕に「娘か孫娘を嫁に貰わないだろうか?」という似顔絵付きの手紙を送って来たのでよく覚えているし、お忍びでよく僕の所までロビー活動をしていた。

 孫娘も連れて来て、よく僕に相手をさせていた。

 しっかし、あの頃は今の僕位の身長しかなかったのに、今では僕よりも背が高いな。

 親戚の子供に久しぶりにあった気分だ。

 そんな感動を脇において、僕はもう一人のお供を見る。

「へぇ、これはディアネンが気に入ったって言う魔国の元王子?」

 僕をジッと見ながら言うのは誰であろう。村松さんであった。

 千年近く会っていなかったが、まさか全く変わっていないとは驚きを通り越して意味不明だ。 

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