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第57話 これはどうしたものかな?

 クレハに連れられて店の前に着くと、店の前に凄い豪華な馬車が止まっていた。

 国旗を掲げているので見てみたが、イストリア帝国の旗ではない。

 この旗は何処の国の旗だ?

「おい。あれって『八獄の郷』のカミノサラ家の家紋の旗じゃないか?」

「間違いねえ。しかし、今年は凄い客が多いな」

 と人が話している声を聞きながら、僕は店の入り口に向かう。

 入り口には護衛の人達がいたが。

「クレハ・フサウマよ」

「どうぞ。お入りください」

 クレハがフルネームで名乗ると護衛の人達はすんなりと入れてくれた。

 伊達にラサツキ家の分家では無いという事か。

 そう思いながら扉を越えて入ると、店の中にはソフィー達が居た。

「今帰ったよ」

「お帰りなさいませ。それと、もう知っているでしょうが、お客様です」

 ソフィーが手で示した先にはダイゴクと妙齢の女性が居た。

 二人は用意されたテーブルで茶を飲みながら談笑しているので、僕はそっと女性を観察した。

 端正な顔立ち。切れ長の目に赤い瞳。縦長の瞳孔。ポニーテールにした黒髪に額から薄緑色の角が二本生やしている。身長も結構あるし、その上スタイルも良い。

 ふむ。ダイゴクが恐縮しながら相手をしているのを見ると、そうとう偉い人のようだ。

「ああ、若。ようやく来ましたか」

 ダイゴクが談笑していたからか店に入って来た僕にようやく気付いた。

「セクシャーナト様。あの方がリウイ様です」

「あら、そうなの」

 ダイゴクと談笑していた女性は茶を飲むのを止めて椅子から立ち上がり、僕の傍まで来た。

 そして、笑顔を浮かべながら話し出した。

「初めまして。貴方がハバキちゃんの息子のリウイちゃんね」

 は、ハバキちゃん⁉ 

 母さんをそんな呼び方を出来る人がこの世に居たのか⁉

 内心、驚きながら返事をする。

「は、はい。そうです」

「そうなの。わたしは『鬼人族九大氏族』の一つカミノサラ家の前当主のセクシャーナト・カミノサラよ」

 まさか『鬼人族九大氏族』のカミノサラ家の人に会うとは。

 どういう人なのだろうと思っていると、クレハそっと近づいて耳打ちする。

「セクシャーナト様はカミノサラ家の前当主でもう当主の座はお子様に譲っているのですが、裏では実権を握っているお方です。また、ハバキ様の武術の師匠でもあったのです」

 母さんの武術の師匠さん⁈ それじゃあ「ちゃん」付けできるわ。

「うんうん。こうして見ても、小さい頃のハバキちゃんにそっくりだわ」

 懐かしい物を見るかのような目で僕を見る。

 何というか、笑顔なんだけど何を考えているか分からない顔だな。

 これは下手な対応したら、それこそ身ぐるみはがされそうだ。

「あの、今日はどのような用で来たのでしょうか?」

「今日はね。この祭りに来たのだけど『義死鬼八束脛』がこの都市に駐屯していると聞いてね。それでダイゴクちゃん達に久しぶりに会うついでに、どうしてこの都市に居るのか訊ねたら、ハバキちゃんの息子がこの都市で商売していると聞いてね。それでどんな子か顔を見に来たのよ」

 上品そうに笑いながらこの都市に来た理由を話すセクシャーナトさん。

 しかし、ダイゴクを「ちゃん」付け出来るとは、世の中は広いな。

「そうでしたか」

「ねぇ、ハバキちゃんは元気?」

「はい。それはもう元気にしていると思いますよ」

「そうでしょうね。あの子の事だからそうでしょうね」

 昔を事を思い出しているのか、遠い目をするセクシャーナトさん。

 その後は母の昔話を色々と聞かせてくれた。

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