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第54話 VIPが店に来るとは

 僕にそう告げた後宮(ハレム)監督(クズラム)(アー)のザイ―ムという人は「店員達の身と店を清めて、皆様方が来るのを待つが良い」と告げて店から出て行った。

 これは一大事だと思い、ティナにダイゴク達を呼びに行かせた。

 少しして、ダイゴクが息をせき切ってやって来た。

「道すがらでこの女の子に聞きましたが。若。凄い大物が店に来るそうですねっ」

 呼吸を整えながら驚いた声をあげるダイゴク。

「やっぱりそう思う?」

「それはそうでしょう。若は知らないでしょうが。イストリア帝国って言えば、西方でも有数の大国ですよ。国土の殆どが砂海っていう特殊な土地だから通称砂海の国って言われていますからね」

「そのサカイ? って何?」

 前世で暮らしていた世界で砂漠の事を昔の人は砂海と呼んでたそうだから、砂漠の国と考えれば良いのかな?

「砂海って言うのは、不思議な物で水みたいな砂なんですよ」

「水みたいな砂?」

 何それ?

「これは何というか口で言っても分からない物なんですよ。地元の人に訊ねると、水の性質を持った砂だとしか言わないので」

「じゃあ、その砂は飲めるの?」

「そうですね。一回沸かさないと腹を壊すそうですよ」

 砂なのに飲めるのか?

「その砂海を歩いたんですけど、歩いた感じ砂漠を歩いている気分でしたね」

 何か、益々どんな物なのか分からなくなったな。

 まぁ、お国の事情はこれぐらいにして、店に来る人の情報を得よう。

「来るのは。確か……母后(ヴァリデ・スルタン)第一(バシュ)夫人(カドゥン)第二(イキンジ)夫人(カドゥン)(スルタン)(カーデシュ)とか言っていたな」

「うへぇ、母后はイストリア帝国現皇帝アスラン一世を生んだ方で、第一夫人のセレネは《(マーヴィ)薔薇(ギュル)を第二夫人のヘオスは『真紅(アル)薔薇(ギュル)』という愛称を皇帝から貰った方々です。皇妹はそれなりの人数が居るので誰が来るか分かりませんが、少なくとも母后と第一夫人と第二夫人が来るって事が凄い事ですよ」

「話を聞いているだけでそう思うよ」

「ねぇ、ダイゴク」

「何ですかい。ティナ嬢」

「その第一夫人と第二夫人の違いってなに?」

「そうですね。第一夫人も第二夫人も違いは殆どないですよ。側室みたいなものですから」

「側室? じゃあ、正室も居るの?」

「ええ、そうですよ。皇帝の寵愛されている方で名前は知りませんが『綺麗(ビュルッ)な声(レム)』という愛称を貰っている女性ですよ」

「へぇ、そんな愛称を持っているんだから良い声をしているんだ」

「そういう噂ですけどね。聞いた事はあるのは皇帝のアスラン一世か後宮で暮らしている者達だけですよ。何せ、アスラン一世陛下が人目に晒したくないと言って、滅多に後宮から出さないそうですから」

「へぇ、独占する程気に入っているんだ」

 ティナは感心していた。

「どういう人達が来るのか分かった。まぁ、やる事は普段と変わりないと考えれば良いか」

「そう言ったらそうなんですがね」

「明日は店は一日貸し切りの札をつけておいて。店は僕とソフィーとカーミラとバシドでいいや。露店の方は前から決めたメンバーで」

 僕がそう言うと、皆それ以上は何も訊かないで明日の準備に取り掛かった。

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