表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
424/756

第53話 祭一日目の終わりに

 店の方は問題ないと分かったので、僕は露店の方に専念した。

 やがて、日は落ち。夜になった事で客足がまばらになってきた。

「リウイ様。そろそろ、明日の準備をしませんと」

「そうだね。じゃあ、店を閉めちゃって」

「はい」

 シャリュに閉店を促されたので言われるがままに店を閉める。

 露店の方の売り上げはまだ数えていないが、それなりに売れただろうと予想できた。

 何せ、用意したサンドイッチとホットチョコは殆ど無かった。

 流石にそれなりに売れただろうと思う。

 そう願いながら、明日の準備をしようとシャリュを連れて店に向かう。


 僕達が店の前に着くと、何かオリエンタルな服を着た人達が槍を持って僕の店の前に立っている。

 それを見て祭りに来た人達がヒソヒソと話している。

「あれって、西方のイストリア帝国の兵装だよな?」

「ああ、間違いない」

「西方にある国でも大国で『砂海の国』とも言われている国の兵士がどうしてこんな所で立っているんだ?」

「さぁ、あの店に何か用とか?」

 何か良く分からないが、とりあえず僕の店に何か用なのは確かだろう。とりあえず、顔を出すか。

 そう思い店に近付くと兵士達が槍を交差させて、僕を店の中に入れないようにした。

「何用だ?」

「この店の者です。中に入りたいのですが?」

 店長と告げても信じてもらえなさそうなので、とりあえず無難な事を言って店に入らせてもらおう。

「店の者か。本当だろうな?」

 疑わしい目で僕を見る兵士達。

「無礼なっ」

 シャリュが叱責しようとしたが、僕は手で制した。

 僕の事を知らないのであれば当然の反応だから仕方がない。

「では、店の者に確認してれませんか? そうしたらすぐに分かると思いますので」

「分かった」

 兵士の一人が頷いて、店の中に入って行った。

 僕達はもう一人の兵士と共に、兵士が来るのを待った。

 少しして。

 兵士と共に店番をしてくれたカーミラが出て来た。

「この者は店の者で間違いないか?」

「ええ、間違いないわ」

「そうか。失礼した。どうぞ、お入りを」

 兵士達がそう言うので、僕達は店に入る前にカーミラが話しかけて来た。

「リウイ。丁度良き時に来てくれたわ。今、誰かを呼びに行かせようとしたところなの」

「何かあったの?」

「今、西方のイストリア帝国の後宮監督官という物が店の店長に会わせろと言って待っているのよ」

「後宮監督官?」

 何で、そんな人がこんな所に? まぁ、とりあえず会うか。

 店に入ると、何か黒い肌の男性と他数人の人達が『七色糸』と『アラクネの生糸』を見比べている。

 ドアが開いた音で振り返ると、商品を元の所に戻して、僕を見る。

「お待たせしました。この店の店長をしているリウイと申します」

 通じるかどうか分からないが、とりあえず魔国の王宮で習った儀礼をする。

 向こうの人達も儀礼してきた。

「わたしはイストリア帝国の後宮(ハレム)監督(クズラム)(アー)のザイ―ムである」

「ザイ―ム様ですか。当店にどんなご入用でしょうか?」

 アラクネの糸をあるだけ売れという感じかな? それとも商品の製造方法でも教えろとか言うつもりか? 前者は良いけど後者は勘弁だね。一応、それで商売をしているので。

「明日。この店を貸し切りにしてもらおう」

「はっ?」

 貸し切り? この祭りの最中で?

 まぁ、今日の一日で多くの商人の人達が僕に顔を見せに来たて名前を教えてくれたので、商業ギルドの義理は果たしただろう。別に祭りに参加して『ファンへ商会』の店の跡地が欲しいわけではない。

 なので、店を貸し切られても別に良いか。

「貸し切りは構いませんが、どんな御用で貸し切りにさせるのか理由だけ教えて頂けないでしょうか」

「うむ。恐れ多くも我が帝国の皇帝陛下の母君であられる母后(ヴァリデ・スルタン)第一(バシュ)夫人(カドゥン)第二(イキンジ)夫人(カドゥン)(スルタン)(カーデシュ)様方がこの店に参られる」

 えっ⁉ 何か凄い人達が店に来る様だ。話を聞いた感じだと皇太后に皇后二人と皇妹が店に来るって事だよな。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ