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第52話 こちらの方はこうしました

 露店の方をシャリュに任せた僕は店に向かう。

 店の近くに着くと、既に行列が出来ていた。

「はい。こちらが列の最後尾になります。横入りしないで並んでくださいっ」

「順番にご案内しますので、今しばらくお待ちください」

 列の整理に出ているアルネブの同族の人達が看板を持ちながら声を張り上げている。

 スタイルが良い人でやっているので、並んでいる人達の中に見惚れている人達もいた。

 しかし、列は遅々として進まない。そう並んでいる事で苛立っている人も居た。

「おい。まだなのか?」

「前の奴。早く終わらせろよっ」

 海に近いからか、都市に風除けは有る筈だが、それでも冷たい風が流れ込んで来る。

 まぁ、そうなっても大丈夫な対策はしてある。

 看板を持ってる人達とは別の店員達が店から出て来た。

「大変お待たせして申し訳ありません。お待ちの間これで寒さをお凌ぎ下さい」

 店員は小さい袋と小さい素焼きのコップを渡していった。

「これは?」

「露店の方で売られているホットチョコと懐炉(かいろ)という物です」

「カイロ? おお。これは温かいな」

「このホットチョコも甘くて美味しいな」

 懐炉で指先を温めて、ホットチョコで身体の中から温める。

 甘いから苛立っている人達も大人しくなる。

 まさに一石二鳥だね。

「このカイロというのは、温かいけど何が入っているんだ?」

「何かジャラジャラって音がするな」

 懐炉を渡された人達はどうしてこんなに温かいのか不思議に思っているようだ。

 まぁ、前世で暮らしていた元の世界みたいに使い捨てカイロみたいな物を真似ただけなんだけどね。

 流石に高分子吸水剤なんか用意できるわけがない。

 前世の祖母ちゃんから教わった小豆カイロをこっちの世界で出来る物で作っただけだ。

 偶々、市場で食用にならない豆を見つけて、何かに使えないかと研究していたら吸熱性と温熱作用を持っている事が分かったので、懐炉に使う事にした。

 蒸して温めた豆を袋に詰めて中身が出ない様に口を縛るだけで出来上がりだ。

 この豆は食用にならないので市場では肥料としてかなり安く売られていたので大量に買った。

 お蔭で大量に懐炉を用意できた。

「お待たせしました。どうぞ」

 店員に案内されて並んでいた人達が店へと入って行った。

 店の中に入ると、店内の商品を見て手に取り何を買うか選んでいる。

「この『七色糸』と『紅玉糸』を三つづつくれ」

「こっちは『エメラルドホーン・ディアー』の角の剣掛けを」

「『青玉糸』と『翡翠糸』を四つづつくれ」

 おお、結構売れているな。

 祭りに合わせて『紅玉糸』と『青玉糸』を作ったのは正解だったな。

 明日は『柘榴糸』と『琥珀糸』を売り出す。

 はっはは、こうして日替わりで売れば、売り上げはかなり上がるだろう。

 最も『翡翠糸』を一つ売っただけで、懐炉に使う豆の釣りが出るんだから特に問題ないのだけどね。

 しかし、祭りに参加する事になって露店は食料品を、店の方は装飾品を売るという事にしたけど正解だったな。

 もし、一緒に売っていれば大変だっただろうなと思う。

 店の様子を確認したし、露店の方に戻る事にした。

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