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第51話  今回はこういう物を売る事にしました

 名前も知らないこの都市の市長が『海神祭』の開催を宣言した。

 すると、祭りを楽しむために来た人達が一斉に露店で売られている物を見たり、見世物を見て楽しそうに拍手したりしていた。

「いっらしゃい。当店自慢の蒸しパンは如何ですか? 中身はトロトロに煮込んだレッドボアの肉ですよ~」

「こちらは、西方の国から来た濃い目のカッフェだよ。好みの味付けに出来るよ~」

 露店の店員達は客を呼び込む声に熱が籠っていた。

 まぁ、店の営業成績次第では『ファンへ商会』の跡地で商売できるのだから頑張るのも当然か。

 最もこちらからしたら、そんな思いなど全くなしだからな。はっはは。

 と笑っていないで、商品を売るとしよう。

「いっらっしゃいませ。暖かい飲み物は如何ですか?」

 そう呼び掛けると、人間の男性が顔を寄せて来た。

「この店は何を売っているんだ?」

「はい。うちはカカオという西方で採れる豆から出来たホットチョコという飲み物とレッドボアの肉のサンドイッチを売っています」

「飲み物は甘いのか?」

「はい。毎度。甘いのと甘くないのと大人用に酒を入れたのがあります。どちらにしますか?」

「では、酒が入ったのとサンドイッチを」

「はい。酒を入れるのは甘く出来ますが如何なさいますか?」

「甘くしないでくれ」

「畏まりました」

 注文を受けると、素焼きのカップに甘くないホットチョコを注ぐ。

 最初にこの豆を見つけた時は驚いた。しかも、ちゃんと発酵やら焙煎やらされた上に粉末で。

 その粉を無塩バターを入れた温かいミルクで少しづつ溶かしていく。一気に入れるとトロミが付く前にシャバシャバになるから。

 そのホットチョコに蒸留酒を適量注ぐ。

 今回用意したのは、バナナに似た果実で名前をバショウという物で作られた蒸留酒だ。

 その果実自体の見た目はバナナにそっくりだが、味はこちらの方が数倍甘い。

 そんな果実で作られたからか、この酒も甘いそうだ。僕はまだ若いという事で試飲はしていない。

 ホットチョコの用意を終えると、サンドイッチの方の用意も終えた。

 サンドイッチと言っても、普通のサンドイッチではなく、所謂ドネルケバブだ。

 前世でピタパンの作った事があったので出来たが、中身は色々と考えた結果。レッドボアの肉を薄切りにして、調味料に付け込んで串に刺して一塊にして焼いている。

 それを焼けた端からこそぎ落として、ピタパンの中に入れて行く。

 そして、試行錯誤したソースを掛けて出来上がりだ。

「お待たせしました。二つで銀貨二枚になります」

 ちょっと割高かもしれないけど、まぁ、祭りだからいいだろう。

「ほぅ、サンドイッチと言うから、パンに挟んだ物かと思ったが、袋状になっているとはこれは変わった形のパンだな」

「え、えっと、西方のとある国でこういう形のパンがあるそうです」

「そうか。では頂こう」

 男の人は銀貨を二枚渡し、商品を受け取った。

「ありがとうございました」

 男の人に背に声を掛けると、内心で幸先は良いなと思った。

 そして、一緒に店番をしているシャリュに声を掛ける。

「少し店の方を見に行くから、その間は任せても良いかな」

「お任せください」

 シャリュの返事を聞いた僕は店へと向かった。

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