第50話 祭りの始まり
その日の夜。
「う~ん。これは・・・・・・」
「流石にこれは想定外ですな」
「これはまた」
僕とリッシュモンドとアクパラが午前中に言った事を、夜、紙に書いて僕に貰うようにした。
すると、どうだ。殆ど使えない案件ばかりだった。
「そうか。部族ごとに祭って違うのか。其処は考えていなかったな」
「ですね」
「ほっほほ、まぁ、まったく使えないという訳では無いから良いじゃろう」
そうなのだ。皆が挙げた売りたい物は、部族でする祭りで出た物だった。
一枚の紙を取り書かれている内容を見る。
「う~ん。これは流石に使えないね」
「流石に、この『刺繍をして負けた者はカフェを三杯飲む』という遊びをして何が楽しいのでしょうね」
「誰がこんな遊びを案に出したんじゃ?」
「多分、バシドだね」
アラクネだからだろう。蜘蛛ってコーヒーを飲んだら酔っ払うって聞いた事がある。
蜘蛛の特性を持つアラクネだからする祭りでする遊びだな。
「こっちの『賭けアームレスリング』も却下ですか?」
「そんな事を発案するのは、身体を動かすのが好きな人だろうから、却下」
そんな人とアームレスリングをしたら、腕が折れて使い物にならないだろうな。
「じゃったら、こっちの『大食い対決』はどうじゃ?」
「う~ん。面白そうだけど、其処まで大量に食材を用意できないと思うから、却下」
個人的には面白そうだとは思うのだけどね。
「ふむ。こう見ると、この時期に合っていないものが殆どですね」
「これは仕方がないね。まぁ、仕方が名から、この時期に合って用意できる物と僕が用意した物で祭りに参加するという事で良いかな」
「それで良いと思います」
「問題ないじゃろう」
二人からお墨付きを貰ったので、僕は行動を開始した。
それからは、祭りをする場所、祭りに使う物の用意等々、準備に時間を追われた。
あまりに忙しいので、店の方は祭りの日まで休む事にした。
大変だったけど、何とか祭りの開催日にオープン出来るようになった。
出店する露店を見て、息を吐いた。
「いやぁ、大変だった」
肉体的というよりも精神的に疲れた。
「お疲れ様です。リウイ様」
「ああ、ありがとう。ソフィー」
「いえ、わたしは何もしておりませんから」
「そうやって気にかけてくれるだけでも十分だよ」
ティナに至っては。
「ねぇ、祭りはまだ始まらないの。あたしお腹減っちゃった」
「もう少しだから待ちなよ」
「むううう」
労わるどころから、自分の欲望に素直であった。
これが僕の乳姉弟か。そう思うと、ちょっと悲しくなるな。
「はぁ、何処でこんな風になったのかしら?」
ソフィーも溜め息を吐いた。
まぁ、これは仕方がないと諦めて、今は祭りに専念する事にした。
今年の投稿はこれで終わりです。
来年は一月三日以降を予定しています。
皆さん、良いお年を。




