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閑話 乳母の立ち聞き

 ソフィー視点です

 リウイ様に言われて、直ぐに商業ギルドのギルド長に出す手紙を書いた。

 なるべく長文ならない様に、それでいて無教養だと思われない文章を選びつつ書いて行く。


 書くこと、三十分。


「ふぅ、ようやく書き終えたわ」

 思っていたよりも時間が掛かったが、問題が無い手紙を書く事が出来た。

 さて、これをリウイ様に見せにいくとしましょうか。

 部屋を出たわたしは、まずはリウイ様の部屋に向かったが、ノックをしても反応が無いので、談話室に居るのだと、階段を降りて談話室に向かった。

 受付は閉まっているが、談話室からは明かりが漏れていた。

 それに微かに話し声が聞こえて来る。

「……という事もあったね」

「ですな。……」

 リウイ様と話をしているのは、どうやらリッシュモンドのようね。

 普段から不思議に思っているのだけど、どうして死人の最上位存在の生命無き王を部下に出来たのかしら?

 しかも、わたしよりも信頼している感があるのよね。

 赤ん坊の頃から育てていた乳母のわたしよりも信頼していると分かった時は内心ショックだったけど、これも今後の為に必要な事と思い、気を取り戻した。

 でも、生命無き王をどうして部下に出来たのか不思議だわ。

 そう思った所為か、談話室から聞こえる会話が気になり耳を傾けた。

「はっはは、そんな事もあったね」

「そうですよ、お蔭で後始末が大変でした。最も『踊る牙』はリウイ様の為に仕事が出来ると大層喜びながら後始末に励んでいましたよ」

 うん? 『踊る牙』? そんな異名を持つ部下は領地を持っていた時も今も居ないのだけど。

「いやぁ、あの時はあんな事になると思わなかったからな~、……そう言えば、ボルフォレからは『雷電』と『槍聖』は連絡を取っているって言っていたけど、リッシュモンドから連絡を取れる?」

「申し訳ありません。領地を出てからは、誰とも交流しなかったので」

「そっか。じゃあ、仕方が無いな」

 『雷電』と『槍聖』? 誰の事を言っているのかしら?

 それにボルフォレって『奥地』にいるエルダー・ダーク。ハイエルフの族長の名前よね。

 普段、リウイ様はボルフォレ族長と呼んでいるのに、どうして呼び捨てにしているのかしら?

「ボルフォレに一報入れますか?」

「いや、こっちで傭兵をしているという事だし、ダイゴクに特徴を言って、今でも活躍しているかどうか調べてもらおう」

「そちらの方がボルフォレに連絡を入れるよりも良いでしょうな」

「だね。問題は『神弓』と『踊る牙』だね」

「二人はどうしているのでしょうね。『神弓』もリウイ様には忠誠を誓っていましたし、『踊る牙』に至っては、絶対忠誠っという感じでしたね」

「傭兵をしているのか、それとも何処かの国に仕えているのか。はたまた死んだのか。どっちだろうね」

「ディアーネ殿に頼んで、調べてもらいますか?」

「そうだね。ユエに会う事があったら頼んでみるよ」

 ユエ? 話の内容から『鳳凰商会』の会長のディアーネ殿のようね。

「歯がゆいですな。此処にリウイ様が居る事を、二人に伝える事が出来れば、直ぐにでも来るでしょうに」

「こればっかしは仕方がないよ」

「ですな。それにしても驚きましたよ。まさか、リウイ様が転生して今の御姿になって、お会いするとは。もう二度と会えないと思っていましたから」

 えっ? 今、なんて言ったの?

 言葉の意味が分からず、わたしは怪訝な顔をした。

「それについては僕もそう思うよ。まさか、人間だった僕が、一度死んで魔人族に生まれ変わるなんてね」

 にんげん? うまれかわる? 

 どういう事?

「ですが。こうして、巡り合えたのですから、神に感謝しませんと」

「出来れば、千年じゃなくて百年後にして欲しかったね」

「はっはは、それは我が儘ではないですか」

 二人が談笑しているの聞いて、わたしは言葉を失った。

 利発な子だと思っていたが、まさかリウイ様が何らかの方法で前世の記憶を持ったまま転生していたとは。わたしは驚きのあまり言葉を失う

 そして、出来るだけ音を立てないで、静かに部屋に戻った。

 今日知った事をどうするべきか悩みながら。

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