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第47話 考える時間をください

「祭りに参加して欲しいと言いますが、その『海神祭』はどういう祭りなんですか?」

 正直、今日初めてそんな祭りがあると知ったからな。

「リウイ様はこの都市に来て日が浅いとの事ですから知らぬのも無理はありませんね。では、ご説明いたしましょう」

 ギョブウは祭りについて説明しだした。

「元々、この『海神祭』はこの都市が出来た年に、一年の漁で採れた恵みを祝う為に行った祭りです。その為、昔からこの時期になりますと、余所から多くの種族が来ました。商売に、祭りを楽しむ為に」

 そこまでは聞いていた話の通りだな。

「そのお陰で、祭りの規模は年々大きくなっていきました。しかし、その祭りが大きくなる度に売る物が無くなって行く次第で」

 ああ、そういう事か。

 ようは、伝統ある大きい祭りなのだけど、今年は売る物が少なすぎて売り上げ的に微妙という事か。

 更に大店の『ファンへ商会』が潰れた事で、更に売る物が無くなったと。

「ですので、今回は『ファンへ商会』が残した土地を商品にして、余所の所から多くの店の参加を狙ったのです。お蔭で多くの商人に参加してもらう事になりました」

「良かったですね。それなら、どうしてその祭りに僕が参加する事になるのです?」

 これで、商人の集まりが悪いと言うのであれば、参加しろと言われても納得できる。

 でも、多いのなら参加しなくても良いのでは?

「リウイ様はご自身の影響力を御存じで?」

「影響力?」

 ふ~む。正直に言って、そんなのあるの? と言えるな。

 僕がそう思っているのが顔に出ていたのだろう

「この店の商品は他の所でもそれはそれは高い評価を受けているのです」

「そうですか。過分な評価ですね」

 僕としては大した物を売っている気はしないのだけどね。

「それに加えて、リウイ様はあの『鳳凰商会』の会長とも懇意にしているとか」

「ええ、そうですね」

 ユエとは前世の付き合いで親しくしているだけなんだどけね。

「実は、今回の祭りに参加する商人の方々から問い合わせがありまして」

「問い合わせですか?」

「はい。それも皆が皆同じ内容でして『リウイという者が店長をしている店はその祭りに参加するのか?』ともいうのでして」

「えええっ⁉」

 何で、僕が祭りに参加する事を聞くの?

「調べました所、リウイ様はその、何と言いますか。『鳳凰商会』の会長と個人的に親しくしているとか昵懇の仲であるとか色々な情報がありまして、どうも、その情報を真に受けた商人達が自分達が参加する祭りにリウイ様も祭りに参加してもらい、顔つなぎしようとしようとしていると思います」

「ははん。成程。僕に顔を売って、その縁で『鳳凰商会』の会長にも顔つなぎしてもらおうという訳ですか?」

「恐らくは……」

 それで、祭りに参加して欲しいという訳か。

 理由は分かったけど、どうしたものかな。

「う~ん。……返事は早い方が良いですよね?」

「ええ、出来れば、明日までにはしてもらえると嬉しいのですが」

「分かりました。返答は明日致します」

「お、おお、そうですか。では、何卒、何卒よろしくお願いいたしますっ」

 ギョブウは何度も頭を下げながら帰って行った。

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