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第42話 元手がタダだから出来る。

 で、僕は今『鳳凰商会』の人が運んで来た荷車の中身を見た。

 ふむ。思ったよりも商品があるな。トーマスさんはちゃんと商品を取ったのかな?

「これがそちらに渡す物です。不良品などは無いと思いますが、一応確認してください。それでは、これで。失礼します」

 僕に一礼して『鳳凰商会』の人は自分の店に戻った。

 さて、困ったぞ。目の前にある商品の量が予想よりも遥かにある。

 もう少し少ない事を想定していたので、この量だと、殆ど倉に入りきらないな。

 倉庫を借りるにしても、今からじゃあ無理だな。

 かといって野ざらしにでもしたら、商品が傷むだろうし、どうしたものか。

 どうしようかと悩んでいると、宿からアクパラとソフィーが出て来た。

「これは、また大量じゃのう」

「これだけの商品ですと、流石に店の倉の中に全部入れるのは難しいですね」

「そうなんだよね。どうしたものかと、今ちょっと考えているんだ」

 僕がそう言うと、二人は頭を抱えて考え出した。

 其処に、リッシュモンドがやって来た。

「どうなさいました?」

「ああ、リッシュモンド。実は」

 事のあらましをリッシュモンドに伝えた。

「でしたら、オークション形式で売ればいいのでは」

「……ああ、その手があったか」

 元手がタダだから、どんなに安い価格で売れてもこちらとしても問題無い。

 それにオークションなら値段を決めて売るよりも、高く売れる可能性がある。

「よし。それで売ろう。まずは、場所の確保だな。場所はうちの店の前で良いか」

「前も其処でオークションした事がありましたので、其処で問題ないと思います」

「よし、じゃあ。其処にこの荷車を運んでくれ」

「分かりました」

 オークションをすると決めた僕達は、直ぐに場所の設営、売り出す順番、最初の売り出す金額等を決めていく。


 そして、数時間後。


「はい。この商品はそちらの金貨百五十枚でお買い上げになった方の物ですっ」

 司会役の僕がそう言うと、商品を買った商人が声をあげて喜んだ。

「次の商品は、えっと、……かの有名な名工ドジョルジュサンドが作り上げた逸品。その名も」

 商品が紹介されながら、布に覆われた状態で運ばれた。

「その名も『黄金の翼を持ちしマンティコア』です」

「「「おおおおおおおおおおおおっっっ⁉‼」」」

 僕が商品名を言うと、布が取り払われた。

 姿を見せたのは、何かの彫刻のようだ。

 見た所、翼と鬣と爪は黄金。瞳はルビー。その他の身体の部分は、最初大理石かと思ったけど、よく見たら魔法銀だった。

 こんな贅沢な魔法銀の使い方をするとは、名工って凄いなと思ったね。

「最初、大金貨二十枚から始めさせていただきます」

「こっちは二十一だっ」

「こちらは二十二」

「二十四」

「二十六」

「二十九」

 と段々値段が上がって行く。

 これは、かなりの大儲けが期待できるなと思い、顔をにやけるのを唇を噛んで我慢した。

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