第41話 魔剣が結構すごい曰く付きだった
僕は魔剣を手に入れたので、皆は好き勝手に品を選んだ。
そして、残りは『鳳凰商会』へと送った。
僕の店で扱うと、面倒そうなので手に入れた商品の殆どを送った。
商品を送った後は、魔剣を置く『エメラルドホーン・ディアー』の角で作った刀掛けを作って、店で一番目立つ所に置いた。
それを見た商人達は剣をジッと見ていた。これは剣を売ってくれという人が出るかなと思った。
だが、実際は刀掛けの方を見ていた。特に細工らしい細工はしてないが、ここら辺では角を刀掛けにするのは珍しいようだ。何人かの商人がこれを商品にするのかと聞いてきた。
見世物として作ったので、まだ商品化するかどうか分からないというと、もし、商品化したら教えて欲しいと言われた。
それよりも剣の方はどうなのかなと訊いてみたら、皆さん。剣の銘を聞いて買うのは止めたそうだ。
何でも、この魔剣『アンゼリカ』は元々はその美貌は傾国の如しと謳われたとある王国の王女の名前から取られたそうだ。
その王女は隣国との戦争で負けた事で表向きは両国の友好の為と言われていたが実質的には人質扱いで輿入れされたそうだ。
で、その王女は輿入れする直前にこの魔剣を作り、短刀の姿にして懐に忍ばせたそうだ。
それを聞いた時、この剣は短剣ではないと思ったら、話をしてくれた商人がこの剣の能力で剣の大きさを変える事が出来るらしいと教えてくれた。
そして、その王女が隣国の王に会うなり、その魔剣を出して王を心臓を一突きして死亡させた。
更に凄いのが、その王女は国でも一~二を争う剣士で、魔剣を今の剣の形にして大立ち回りをしたそうだ。取り押さえようと近付く兵士達を斬殺して逃走。その上、逃走中に掛かった追手数十人を皆殺しにして国に遁走した。
結果的に言えばその事件により、その隣国は内乱が起こって滅んだ。
以来、この剣の事を『国を滅ぼす魔剣』と言われる様になった。
そんな曰くがあったと知り、僕はビックリした。
そして、何でインテリジェンス・ソードになっているのかというと、元々の持ち主の王女が晩年に、自分の人格を記憶した結晶を取り込ませた事で、インテリジェンス・ソードになったそうだ。
何でそんな事をしたのかは、誰も知らないそうだ。
曰く付きで謎がある剣か。それじゃあ、誰も買わないか。
仕方がないので、今後は僕に差す事にした。
翌日。
朝目覚めて、朝食を食べて店に行く前に一休みしていると。
宿の人が「お客さんですよ」と言われて、会ってみたら、このまえ商品を僕の店に運んで来た『鳳凰商会』の人じゃないか。
「こんな朝早く来て申し訳ありません」
「いえいえ、気にしていませんので。それで、何の用で来たのですか?」
「ええ、実は昨日預かった商品なのですが、残りの物を運んできました」
おや? 随分と早いな。あと数日は戻ってこないと思っていたけど。
「実は、うちの店で預かった時に、どんなのがあるのか調べてリストを作っていたんです。ああ、勿論、リストは作っても、商品は一つも取ってはいません。それで、送ってくれた商品はそのリストを元にして、幾つか貰ったのです」
「成程、事前にリストを作っていたのか、それじゃあ帰って来るのが速いな」
「そんな訳で、今宿の前に置いてあります」
ふむ。思ったよりも早く帰って来たな。さて、どうしようかな。




