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第36話 ああ~、大変だ

 皆に指示を終えると、僕はそのまま眠りについた。

 仕上げを御覧じろって所だ。

 どんな結果になるか楽しみにしながら、僕は目を瞑った。


 翌日。


 僕はティナとアマルティアとシャリュを連れて自分の店に向かう。

「~~~♪」

「随分と御機嫌ね」

 鼻歌を歌いながら、店に向かっているとティナが声を掛ける。

「まぁね~、店を見れば嫌がらせがどうなったか分かるからね」

「う~ん。あれは嫌がらせと言うのかしら?」

 ティナは首を傾げる。

「流石はリウイ様です。常人では出来ない事を平然と思いつき、そして実行するとは、正に傑物ですっ」

 アマルティアはキラキラした顔で僕を褒め称える。

「まぁ、常人では実際にする事はないでしょうね」

 常人という所だけは同意するシャリュ。

 何か、二人して、褒めているのかそれとも怖がっているのか分からない言い方だな。

 そう話していると、店が見えた。

「おお~、これは」

「これって、どっち?」

「知らないわよ」

「わたしも」

 僕達は店を見上げる。

 すると、何故か店の壁が落書きされていた。

 黒い塗料で、〇の中に何か書かれていた。

 ええっと、何々『嫌がらせ』と。

 それを見て笑みを浮かべた。これは僕が考えた嫌がらせが成功したサインだ。

「うわぁ~、誰だっ。こんな事をしたのはっ」

「ほんとうね~」

「いったい、だれがしたんでしょうね~」

 ティナとアマルティアは棒読み感が否めない。

 っち、もっと腹芸が得意な人を連れて来れば良かった。

「いったい、いったい、誰がこんな事をっ」

 シャリュの場合は、わざとらしいな。演技しているのが丸わかりだ。

「全くだ。誰がこんな事をしたんだっ」

「ねぇ、りうい。これはえいへいにそうだんしないと、だめじゃない?

 うわぁ、すげえ、棒読み。しかも、手の平に掛かれたカンペを見て言ってるし。

 今度から、こういう芝居をする時は別の人を連れて来るか。

 そう思いつつ、僕はさっさと話を進める。

「これじゃあ、店に人が来なくなる。急いで、綺麗にしてくれ」

「はい。わかりました」

「お、おおせのままに」

「大変、大変っ。早くしないと、開店準備が間に合わなくなるっ」

 うん。この三人、今度からこういう芝居をする時は連れてくるのは止めようと思った。


 数時間後。


 ティナ達が店の壁を綺麗にしてくれた。

 僕が手を伸ばせば届く所で、水で拭けばすぐに落ちる塗料にしてくれと頼んだから、直ぐに落ちた。

 その後、開店準備に取り掛かった。

 何せ、今日は店に来る人が多いからな。

 何とか開店時間ギリギリに開店準備を終えて、開店すると商人達が店に流れ込んで来た。

 注文を受けて、金を受け取って商品を受け渡し続けたよ。

 で、ある程度の客を捌いて、話すだけの余裕が生まれたので、商品を包みながら、僕は商人に話しかける。

「今日は何時にも増して、お客さんが来て驚いています。何があったのですか?」

「うん? ああ、そうか。この店の店員は知らないのは当然か。昨日の未明だったかな。何か『ファンへ商会』に大量の虫が発生して、食料品が軒並み食われたそうなんだ」

「へぇ、そうなんですか」

 それはまた、地下から大量の()が出てきて、店の倉庫にあった食料品が食われたんだろうね。「しかも。その虫の大量発生は人為的らしくてな。店から虫が居なくなったから、店に入ると、店の金庫に入っていた金は無くなるは、商品リストは無くなるわ。その上、店の倉庫にあった商品も全部無くなっていたそうだ」

「それはそれは、大変ですね」

 それらを奪った人達は『収納』の魔法が掛かった容れ物や魔法の中に入れたんだろうね。

「しかもだ。店の外にある倉庫があった場所が更地になっていたんだ。いや、正確に言えば、倉庫があった跡はあったそうだぜ」

「へえ、倉庫も消えたんですか」

 きっと、倉庫は誰かが空輸したんだろうな。

「そんな訳で『ファンへ商会』から商品の仕入れが出来なくなったから、今、こうして、慌てて、お前さんの店で商品を仕入れているんだ」

「そうなんですか。まぁ、うちとしては、商品が売れて大助かりです」

 こうなる事を予定して、商品を大量に作ったからな。

 さて、後は狩猟班が獲物を持って帰って来るのを待つだけだ。楽しみだな。

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