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第30話 せっかくなので都市を歩く事にした

 皆にこの都市を離れる準備をする様にと行ってから数日後。

 

 現在、僕達は商売をしながら少しづつ店を閉める準備をしていた時。

「若。ちょいとご相談があります」

 店の開店準備を進めていると、ダイゴクが話しかけて来た。

「何かな?」

 僕は手を止めて、身体をダイゴクの方に向ける。

「若。この都市を離れる話は聞いております。あっしも他の奴らもそれについては文句も有りませんし、何時までもこんな小さい店でいるよりももっと大きな店でした方が商売をした方が良いと思います。ですが。若。少々働き過ぎではないですか?」

「そうかな?」

「はい。店を閉めるんでしたら、わざわざ若が商売しなくても良いと思います。それと次にこの都市に何時来るか分からないのですから、思い出作りにこの都市を見て回って見聞を広めても良いと思いますよ」

「ふむ。確かに言えてるな」

「という訳で、今日の仕事は休んで、まだ行ってない地区に行くというのは如何ですか」

 そうだな。結局、この前は中央区と西区にしか行ってないからな。

 東区と南区に行くのも悪くないか。

「……そうだね。じゃあ、お言葉に甘えさせてもらおうかな」

「ありがとうございます。とは言え、流石に護衛のも無しじゃあ、流石に問題だと思いますので、一人で良いので護衛をつけて下さい」

「ああ、分かっている。さて、誰をつけようか……」

 今日非番で空いている人と言えば。


「それで、わたし達が呼ばれたのですか」

 少し不機嫌そうな声を出すデネボラ。

「まぁ、そう言わず。折角だから楽しみましょう」

 不機嫌なデネボラを苦笑しながら宥めるシェムハザ。

 あの黒い翼は目立つので、今は仕舞ってもらっている。

「いや、他の人達は仕事や狩りで居なかったからごめんね」

「べ、べつに、嫌という訳では」

「そうそう。それに、外に出て買い物をするのは生まれて初めてですから」

 シェムハザは嬉しそうな顔をしていた。

「そうなの?」

「わたしの家は代々天人族の族長の家柄ですから、買い物なんかしなくても、欲しい物があったら献上されてきたので、買い物なんかした事が無いので楽しみです」

 鼻歌を歌いながら先に行くシェムハザ。

 何か、本当に楽しそうな顔をしているので誘った甲斐があったな。

「ごめんね。最初は一人でも良いと思ったんだけど、ソフィーがね。『休むのは構いませんが、せめて、護衛役は二人つけてください』って言うから」

「ふぅ、こうして誘われたので仕方がないわ。仕方がないので、お供いたします」

「助かるよ」

 納得してくれたのか、溜め息を吐きながらデネボラは先を行くシェムハザの後を追いかける。

 僕もその後を追い駆けた。

 リウイ達が遊びに行っている頃。

 店では。

「ぶぅ、今日はリウイと店番出来ると思って楽しみにしていたのに」

「それは、わたくしも同感よ」

 アルティナは頬を膨らませながら、カーミラはプンプンと怒りながら開店準備をしていた。

「ほら、二人共。手が止まっているわよ」

 そんな二人に手を動かす様に促すソフィーディア。

「それと、予め言っておくけど、店が暇になったからと言って、それにかこつけて、リウイ様達の所に行くのは駄目よ」

「むう、分かっていわよ。母さん」

「勿論です」

 内心、暇な時を見計らって店を抜け出そうと思った二人は、釘を刺されて真面目に仕事をする事にした。

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