第27話 とりあえず、連絡を取れるようにしたいな
僕達は『鳳凰商会』の店の中に入ると、まずは商品が置かれた棚が出迎えてくれた。
まずは店で売っている商品を見せるのか良い方法だな。
「これは、毛皮のようだね」
「それとなめした魔物の革もありますね」
「あと、これは豚肉の塩漬けと腸詰ね」
「それとチーズもあるわね」
他にも剣や色々な魔物の部位を合成した合成弓等々があるようだ。
ふむ。見た所、この店は山の幸を取り扱っているようだ。
湾岸都市だからか、山で採れる物をメインで売るか悪くないな。
恐らく、ユエの方針だろう。
ユエと連絡できるようになりたいので、とにかく店長を探した方が良いな。
しかし、誰が店長なのか分からないので、店に居る店員に声を掛けた。
そこまで考えて、僕は考えた。僕が言ったら変に思われるので、此処は誰か別の人が声を掛けた方が良いなと思い、とりあえず、此処で一番年長のソフィーに声を掛けてもらうように頼んだ。
「すいません。ちょっと良いですか」
「はい。何でしょうか?」
「店長さんはおられますか。お話がしたいのですが?」
ソフィーがそう尋ねると、店員は申し訳ない顔をしだした。
「申し訳ありません。ただいま、店長は出ておりまして」
「何時頃お帰りか分かりますか?」
「会議に出ておりますので、明日か明後日になります」
ソフィーは僕を見る。
「どうしますか?」
「居ないのなら、言付けを頼もう」
僕が店員の傍まで来た。
「じゃあ、言付けを頼めますか」
「はい。承りました」
店員は書き留める様にメモを出した。
「どうぞ」
「北区で商売をしているリウイです。商売の話をしたいので、お戻りなしましたら誰か店まで寄越してくださいと」
「北区のリウイ様ですね。店長には店に戻り次第、連絡とります」
「お願いします」
その後は、店の商品を幾つか買って店を後にした。
翌日。
店の開店準備をしていると。
コンコンっ。
何か、扉を叩かれた。
「何だ?」
「まだ、開店していませんが?」
一緒に開店準備をしているシャリュも首を傾げた。
『あの~、朝早くから申し訳ありません。此処はリウイ様のお店ですか?』
どうやら、店に用事があってきた人の様だ。
それが分かるとシャリュが応対した。
「はい。その通りです」
『そうでしたかっ。わたし『鳳凰商会』ヨドン支店の支店長のトーマスと申します。お忙しいでしょうが、お時間を頂けないでしょうか?』
ありゃ、まさか支店長が来るとは思わなかった。
これは僕が出ないと失礼だなと思い、店の準備はシャリュに任せて、僕は扉を開けた。
扉を開けると、其処に居たのは人が良さそうなチビ髭を生やした人間だった。
「僕がリウイです。お話しをお伺いします」
僕がそう言うと、トーマスは手に持っている紙と僕を交互に見た。
「貴方がリウイ様ですね。はぁ、良かった。昨日は申し訳ありません。昨日は各支店の支店長達が集まる定例会議でしたので、わざわざ訪ねて来たのに席を外していた事をお許しください」
頭を下げるトーマス。
「いえ、僕の方も事前に来る事を伝えなかったので、居なくても仕方がありません。それよりも、その紙は?」
「ああ、これですか。実は本店から、リウイ様の似顔絵が届いていまして。もし、この人物が店を訪ねたら、最上級の待遇で話を聞き、直ぐに本店に連絡する様にと通達がありましたので、その確認をしておりました」
流石はユエだ。僕が自力でこの大陸に来る事を予想して、各支店に連絡していたのか。




