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第21話 新しい幹部の人が来た

「いい?此処はもう魔国じゃないのだから、もし、何か壊しても僕達が弁償しないといけないんだよ。そうしたら、折角、皆で頑張って集めたお金なんか、あっという間に無くなるよ。別に喧嘩するなとは言わないけど、ちゃんと場所を選んでからそういう事をしてもらわないと、こっちが困るんだからね」

「「……はい」」

 二人はしょんぼりしているが、ここで許したら、二人の為にならないので、此処は心を鬼にしなければ。

 そう思って口を開こうとしたら。背後から叩かれた音がした。

 誰だろうと思い振り返ると、其処にはダイゴクが居た。

 後ろには見慣れない女性が二人いた。

「若。これはいったい、どうしたんですか?」

「ちょっとした喧嘩でこうなった。で、今はその喧嘩をした人達を説教している所」

「はぁ、左様で」

 ダイゴクは意味不明内な顔をしていた。

「ところで、後ろに居る女性達は?」

「ああ、残りの『義死鬼八束脛』の幹部が今さっき到着したので、ご挨拶に来ましたぜ」

 ダイゴクが横にずれると、女性達が前に出てきた。

「初めまして。若様。わたしは『義死鬼八束脛』の二番隊隊長のクレハと申します」

 クレハと名乗る女性を僕はジッと見る。

 足までありそうな位に長い赤茶色の髪。右前髪だけ長く右目を隠していた。所謂メカクレという奴だ。

 身体の線が諸に出る紫色のレオタードみたいな服を着ていた。

 その服の所為か、豊かな胸。括れた腰。豊満な臀部というのがよく分かる。

 にこやかに笑うその笑顔にちょっとドキドキする。

 それにしても、若様か。何か、若よりも商人の息子みたいな感じの呼ばれ方だな。何か新鮮だ。

 そう思いながら、クレハの隣にいる女性を見る。

 こちらの女性は黒い髪をポニーテールにしていた。

 ツリ目で薄水色の瞳。凛々しい顔立ち。クレハと比べると若くそして前後の厚みが無い体型だ。

 見た感じ、僕達よりも少し上の年齢に見える。

「初めまして。七番隊隊長のスズカだ。よろしく頼む」

 固い声だ。真面目なんだろうなと思いながら、僕は頭を下げる。

「初めまして。リウイです。これからもよろしく」

 僕が挨拶すると、クレハ達は僕を上から下まで見てきた。

「……ううむ。ハバキ様に似てないのでは?」

 スズカさんは首を傾げている。これは仕方がないので気にしない。

「いいえ、ハバキ様の子供の頃にそっくりよ」

 へぇ、クレハさんは母さんの子供の頃を知っているのか。

 そんな風に思っていると、ダイゴクが近づいて耳元で囁く。

「クレハは姐さんの妹分であっしとも子供の頃から付き合いがあります。姐さんが出奔する時はあっしと一緒に国を出て、俺達と一緒に『義死鬼八束脛』を作った時から共に行動している古参です。種族は今は人の姿をしていますが、鬼人族です。スズカは見た目は人間の様に見えますが、実は魔人族です」

「魔人族? どう見ても人間にしか見えないのだけど」

「聞いた話だと、あいつの種族は人間寄りの魔人族だそうです」

「成程」

 それなら、納得できるな。

「これで幹部は全員?」

「はい。改めて、幹部達を集めて宴会をしますので、若も出席してください」

「分かった。日時については、後日教えてね」

「承知しました」

 ダイゴクは頭を下げる。

「で、若。今日の営業はどうしますか?」

「今日ね。どうしよう」

 外装は大丈夫そうだけど、内装がな。

 壁の至る所は、黒く焦げているしインテリアで置いた置物とか壊れて散乱している。

「このままでは営業に差し掛かるでしょう。わたしもお手伝いしますよ」

 クレハがそう言ってくれた。

「お願いできるかな」

「はい。お任せを」

 そう返事して、クレハはスズカに顔を向ける。

「スズカ。貴女は置物を売っている店に行って、適当な置物を見繕ってきなさい」

「分かった」

 スズカは頷いて、そのまま店を出て行った。

「ダイゴクは店の外で、警備していなさい。お客様が来たら、今日は営業時間が遅れると言いなさい」

「分かった」 

 ダイゴクが店の外に出て行った。

「では、若様。まずは、掃除を始めましょう」

「うん」

 この人、仕切るの上手いなと思いつつ、僕は店の掃除を始めた。


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