第16話 初めまして
翌日。
朝目覚めた僕は店の開店準備を済ませると、ダイゴクが来た。
「若。すいませんが。ちょっと良いですか」
「ああ、良いよ」
昨日の内に、皆には『義死鬼八束脛』幹部の人達が僕に会いに来ると話していた。
その時は、何も言わなかったが、後で何かクジを引いていたけど、何をしていたのやら。
後の事は皆に任せて、僕はダイゴクと一緒に『義死鬼八束脛』の幹部に会いに行く。
一応、護衛としてカーミラさんとアルトリアが付いてきた。
最初、要らないと言ったのだが、ごねたので仕方が無く連れて来た。
ダイゴクは何も言わなかったが内心では、少し不満に思っているかもしれないな。
そう思いながら、ダイゴクが連れて来たのは、何か豪華なホテルみたいな所だった。
「此処の店は美味い料理を出すだけではなくて、個室も有りましてね、其処の一室を借りました」
朝食はもう食べて来たので、話をするだけと考えれば良いかな。
そう思いながら、その店に入った。
店に入ると、店内は清潔感がある白で統一された内装であった。
この都市に来てまだ数日だからか、こんな店がある事には知らなかったな。
入り口の所で待っていると、店員がやって来た。
「いらっしゃませっ」
「予約していたダイゴクだ」
「ダイゴク様ですね。ようこそ、お越しになりました。他のお客様はもう部屋に通しております」
「そうかい。じゃあ、案内を頼むぜ」
「畏まりました」
店員が一礼して付いて来るように合図をしたので、僕達は後に付いて行った。
店員の後に付いて行くと、厨房の中を通って行った。
料理人の人達が、僕達を邪魔そうに見て来るが、こればっかりは仕方がない。
「何で、こんな所を通るのかしら?」
料理人達や棚とかにぶつからないようにしながら、カーミラは呟く。
「確かに、個室なのは分かるが、調理場を通る必要はないと思う」
アルトリアはただでさえ、身体が大きいので、ぶつけないように苦労しながら歩いている。
「すいませんね。此処はこういう店なんですよ。何せ」
「盗聴対策でしょう?」
「その通り。流石は若だ。よくご存じで」
ダイゴクは感心していた。
「どういう事、リウイ?」
「厨房の近くだと、人の出入りが目立つし、盗聴しようにも料理する音で聞こえづらいから、安心して秘密な話が出来るって事さ」
前世で、何かの本でそう書いてあった。
「へぇ、そうなの」
「流石はリウイ様です」
カーミラとアルトリアも感心していた。
「っと、着きましたね。入りますよ」
ダイゴクがノックしないで部屋に入った。
部屋には、男性が四人ほど居た。
ダイゴクと母さんが鬼人族だからか、幹部の人達は全員、鬼人族かと思ったが違った。
魔人族。獣人族。竜人族。鬼人族か。
こっちの大陸にも魔人族は居るんだな。
「お前等、姐さんの子供の若だ。挨拶しろ」
ダイゴクがそう言うと、四人共、僕をジッと見る。
「あ、どうも。初めまして」
僕はとりあえず、頭を下げた。




