第14話 面白い話を聞けた
傭兵ギルドに集まって貰った商人達に、ヨットエルフ達を分隊に分かれさせて護衛としてつかせて、見送りをしていると。
「若~!」
そんな風に呼ぶ声が聞こえたので、そちらに顔を向けると。
「ああ、ダイゴク」
声を掛けたのがダイゴクだったので、手を振る。
「「「っっ⁉」」
それを見るなり、何か商人の人達が、僕を化け物を見るかのような目で見てきた。何故?
不思議に思っていると、ダイゴクが僕の所に来た。
「多分、此処に居ると思って来たのですが、傭兵ギルドの方も話を通したって所ですか?」
「そうだね。それで、今は傭兵ギルドの手伝いをしている所かな」
「何だ。言ってくれれば、あっしの部隊の奴らを動かしましたよ」
「いやぁ、そこまでしてもらうと悪いから」
「そんな水臭い事を言わないで下さいよ。若」
僕とダイゴクが話をしていると。
「……ほ、本物か?」
「間違いない。『義死鬼八束脛』の総長のダイゴクだ」
「という事は、あの少年は『虐殺者』の?」
「あ、危なかった。……」
何か、商人の人達、僕達を見て安堵の息を漏らしているけど、何で?
僕が首を傾げていると、ダイゴク商人達に気にせずは話しかける。
「ところで、若。このゴーレムは何処で手に入れたのですか?」
ダイゴクはヨットエルフ達を指差す。
「ああ、ヨットエルフ達の事?」
「はい。こんなメタリックなゴーレムなんて、まるでアイゼンブルート族ですね」
「あれ? アイゼンブルート族の事を知っているの?」
「ええ、これでも、この大陸の色々な所に行きましたからね。色々な種族が居る事を知っていますよ」
「そうなんだ。知っているのなら、話が早いや。ヨットエルフ達もアイゼンブルート族だよ」
「おや、そうなんですかい。あっしが訊いた所では、獣型のアイゼンブルート族しか居ないと聞いていたのですが」
成程。この大陸には獣型のアイゼンブル-ド族が居るのか。
「そのアイゼンブルート族は何処に居る?」
どんなのが居るのか見てみたいので、聞いてみた。
「あいつらは、確か『黄墟の都』の近くに居た筈です」
「こうきょのみやこ?」
何、それ?
誰かが亡くなった時に埋葬する場所なの?
「『黄墟の都』だって⁉」
「あんな所に居るのか……」
「っち、上手くいけばいい労働力になると思ったのだが」
僕達の話を聞いていた商人達はガッカリした顔で、商売の準備をしだした。
「それは、どんな所なんですか?」
「大昔にあった人間族の王国の都ですよ。もう、廃墟なんですが。その都の至る所にパイライトで作られているんです」
パイライトか。
確か、別名『偽りの黄金』とかいう鉱物だ。
見た目は黄金に見えるが、鉄よりも柔らかい。
せいぜい、金メッキにしか使えない。
だが、この鉱物は何かにぶつけると火花を散らすので、加工がとても難しい。
なので正式名ではなく、別名で呼ばれる事が多い。
「そのパイライトの別名と廃墟になっている事を掛けて『黄墟の都』と言われているんです」
「そうなんだ。それにしても、そんな無駄な事をしなくても、金を使えば楽だろうに」
「大昔の人がする事ですから、あっしにはサッパリです。それにその都には、アンデッドが沢山いますからね。命知らずの冒険者でもなければ、近付く事が無い所ですよ」
「ふぅん。ところで、その都の名前は?」
「さぁ、大昔の都ですから、その間に失伝したと言われていますよ。物好きな学者か、その時代から生きている者じゃなかったら、誰も知りませんよ」
そうか。大昔にあった人間族の王国の都か。
……まさか、昔、僕が仕えた王国の王都だったりして?
それこそ、まさかだな。




