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第10話 母さんの出生を知る

 僕達が宿の中に入って、受付の所で待っていた。待っている間も悲鳴やら喚き声とか聞こえて来たけど、数分したら、嘘みたいにシーンと静かになった。

 どうなったのか気になり、外に出て見ようかと思ったら。

「お待たせしました。リウイ様」

 ダイゴクさんが刀を鞘に納めて肩に乗せて、もう片方の手は何かを引き摺っていた。

 何だろうと思い目を向けると、その引き摺っているものは『レッド・クロウ』のメンバーの一人だった。

 顔の至る所には切り傷があった。更に、どんな攻撃を受けたのか分からないが、着用している鎧が壊れていた。

 それなのに、鎧の下に着用していた服は裾や腕の部分以外は何処も切れていない。

「う、うう……」

 辛うじて意識があるのか、男の人は呻いている。

「こいつがリウイ様に言いがかりをつけてきた奴で間違いないですね?」

「まぁ、そうだね」

「分かりました。では」

 ダイゴクは持っている刀を出した時みたいに穴の中に仕舞い、懐に手を入れて短刀を出した。

「ケジメをつけさせてもらいますか」

 はい? ケジメ?

 ダイゴクさんは男の人を床に叩きつける。そして、男の人の左手を足で踏みつけた。

「小指を貰うぜ」

 ダイゴクさんは短刀の鞘を抜いて、屈んで短刀の刃を男の人の小指に当てる。

「ひ、ひいいいいいいいいっ⁈」

「ちょっと待った!」

 ケジメってそういう意味かい‼

 流石にそんな事をされたら、色々な意味で困るので慌てて止める。

「うん? どうかしましたか?」

「そんな事をしなくていいからっ」

「そうは言いますが、こういう場合、ケジメはつけないと駄目ですよ。じゃないと、こういう奴らは後で恨みを思い出して、仕返しをしてきますぜ」

「いやいや、そんなケジメをつける程の案件でないから、此処は穏便にしようよ」

「はぁ、リウイ様がそう言うのでしたら、あっしは構いませんが」

「お願いしますっ」

 僕の不注意でぶつかって、それでアルネブに締められた恨みで喧嘩を売って来て、それで負けて小指を落されたら可哀そうすぎる。

「はぁ、分かりました」

 ダイゴクさんは足を退けた。

「ほら、リウイ様が許してくれるようだから、さっさと行きな」

 ダイゴクさんが顎でしゃくると、男の人は悲鳴をあげながら宿屋から出て行った。

 男を見送ると、ダイゴクさんは話しかけてきた。

「本当に良いのですか? 今からでも遅くはありませんよ」

「大丈夫だから」

 流石に一度くらいは許してあげないと。まぁ、二度目はないけどね。

「はぁ、そうですか。姐さんとはちょいと違いますね~。リウイ様は」

 比較しているのかな? いや、どちらかと言うと、こういう風に育ったんだみたいな感じのニュアンスを感じるな。

「あの、一つ良いですか」

「はい。何なりと」

「その『リウイ様』と呼ぶのを止めてくれませんか。僕はそんなに偉い身分ではないので」

 王位継承権を破棄したので、魔国では王子と呼ばれても良いけど、此処はもう別の国なのだから、様付けされないで呼ばれて欲しい。

「…………」

 僕がそう言うのを聞いて、ダイゴクさんは目をむいていた。

「何か?」

「ああ、いえ、やっぱり、親子なんですね。姐さんも昔、故郷を飛び出した後、あっしらに『もう、様付けして呼ぶな。国を出たのだから家の身分なんか、銅貨一枚分の価値もない』と言っていましたので」

 ああ、母さんならそう言いそうだな。

「っていうか、母さんってそんなに良い所の出なの?」

 そう言えば、昔「古いしきたりに縛られた家に居るのはまっぴらだから、家を出た」と母さんが言っていた事があったな。

「おや、ご存じないので?」

「何がですか?」

「ハバキの姐さんの家は鬼人族の中でも名家で『鬼人族九大氏族』の筆頭のラサツキ家ですよ。今は姐さんの御父君が当主になりましたから、姐さんは次期当主候補ですよ」

「えっ、それって、つまり……」

「簡単に言いますと、リウイ様は王族の一員という事になりますね」

「え、えええええええええっ‼‼‼」

 そんな話、初めて聞いたよ⁉


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